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星野 崇史

株式会社 Maenomery 代表取締役社長

https://maenomery.jp/

1986 年 4 月 7 日生まれ。浦和レッズユースを経て、流通経済大学卒業後、ザスパ草津やジェフユナイテッド市原・ 千葉リザーブズ、パラグアイ 2 部リーグ等でプロサッカー選手としてプレー。引退後、当初 3 名だった人材会社へ入 社し 2 年後に取締役へ就任。トップセールスマンとして活躍し、100 名規模の会社へと成長させる。

浦和レッズユースを経て、流通経済大学卒業後、ザスパ草津やジェフユナイテッド市原・千葉リザーブズ、パラグアイ2部リーグ等でプロサッカー選手としてプレー。引退後、当初3名だった人材会社へ入社し2年後に取締役へ就任。トップセールスマンとして活躍し、100名規模の会社へと成長させる。 2018年8月に株式会社Maenomeryを創業。社名にもあるかなりインパクトのある「マエノメリ」の由来は26歳で飛び込んだ会社でのテレフォン・アポイントメントをしている時に電話の受話器に入り込むような前のめりの姿勢が周りから評価されたところから始まったそうだが、星野氏にとって前のめりとは。現在の事業にどう生かされているのかも含めて話を聞いた。

1:サッカー選手引退後のキャリア構築

株式会社Maenomeryはスポーツ選手のセカンドキャリア支援を行う人材紹介会社である。代表の星野選手も中学校で浦和レッズのジュニアユース、高校でも浦和レッズのユースに上がりその後も26歳までサッカー選手としてプレーをする。最終経歴のパラグアイの2部リーグでは怪我もせず本人曰く「強制送還でした」と笑うように完全燃焼とはならずに現役選手を引退する。引退する頃に実姉の息子、自身の甥っ子がわずか1歳で硬膜下出血を患い重度の障害を負ってしまう。自分も引退という決断をし苦しみ悩んだが、姉の苦しみに比べたら自分の悩みはなんて小さいのだろうと、元気ならなんでも出来るじゃないかと奮起したという。サッカーに対しての負けは認めるがサッカーに対して決して逃げずに這いつくばってやっていた自信はあった、そこに対しての自信は持ち続けようと思った。なんでもやろうと決意をした時に、セカンドキャリアのサポートしてくださる方と会う機会があったが、履歴書もバックも持たずまさに裸一貫で会いに行くと何故そんなに気合が入ってるんだと、何故そんなに切り替えてるんだと聞かれ「多分なんでもできます」と答えるとその覚悟が認められウチで一緒にやってみないかと誘われる。その時星野氏は事業内容も聞いていなかったそうだがその瞬発的な判断力はアスリートならではなのかもしれない。テレフォン・アポイントメントで求人の開拓から始め、後にその会社が立ち上げたベンチャー企業でトップセールスマンとして活躍したったの2年で取締役にまで上りつめる。

2:セカンドキャリアとデュアルキャリア支援

どの競技のアスリートでも現役引退後すぐにセカンドキャリアを決めモチベーションを切り替える事は容易ではないだろう。現役で活躍をし、現在は経営者としてキャリアを確立した星野氏の実体験はアスリートにとってどんなに勇気づけられるだろうか。セカンドキャリアの支援と同時に、現役で競技を続けながら会社員として勤務をし、現役中から将来を見据えた準備をする「デュアルキャリア」の必要性を感じ取り組んでいる。他に仕事をすると競技に費やす時間も減りなかなか踏み込めない選手もいることも事実だが、備えることで選手寿命も延ばせるチャンスがあり、自身もこのデュアルキャリアを知っていたらもう少し長く現役選手を続けていたかもしれないと思うほどに企業と選手双方にメリットがある。スポーツによって年齢は違えど、ある程度の年齢に達すると将来に不安を感じ悩み始める選手も少なくないそうだが、現役時に別事業の経験があるかないかでは心の余裕も違ってくるのではないだろうか。コロナ禍から働き方も大きく変わり、部分的な業務委託などを積極的に実施している企業も増えニーズは業種問わずに年々増えているそうである。例えば、IT関連のエンジニアをまとめる役などは、リーダーシップのあるアスリートならではの能力が存分に発揮されるピッタリの役割だ。さらに、「自分の居場所は自分で掴んでいくんだぞとクライアントさんへ送り込む」その言葉通りに、アスリートは主体的かつ率先して動ける人が多く、任される仕事量や内容がどんどんレベルアップしていく、そうすると企業側もその選手を応援したくなり、所属しているチームをスポンサードするなど素晴らしい相乗効果も生まれているそうである。では、そういったアスリートたちをどうやって探すのかを聞いてみたところ、大学の新卒生の就職サポートに特化した教育期間や大学の監督などの繋がりや、毎年関東のサッカー部の4年生だけでも2500~3000人にアプローチをするなど直接話をし会いに行く、なんともスポーツ選手らしい熱いアプローチを続けている。その熱意が印象を残しセカンドキャリアやデュアルキャリアを考えたときに「あの人に相談してみよう」となるのは納得である。

3:現役アスリートこそビジネス経験者

株式会社Maenomeryには男女問わず様々な経歴のアスリートが所属している。種目以外にも「応援団の子」や、「フォワードよりディフェンスの子」など具体的なリクエストもあるようで実に面白いなと思った。忍耐強いことも評価されることが多く、営業職で活躍され実績を出す人も多いのが特徴的であるがその理由として、スポーツの世界も戦術や戦略、分析などが必要となり理解していないと長く選手は続けていけない。「だから僕は現役の選手が営業未経験者とは言えない。ビジネス経験者ですよ」と話すように新しく入ってきた選手のマネジメントや、監督が意図していることを忠実に再現できるなどの人間力も必要となる。また、年齢で外されてしまうこともあるそうだがそういったことも星野氏は話し、これまでの実績、チームとしての立ち位置なども含めて企業側に根気強くプレゼンをするそうだが非常に頼もしい限りである。その結果、2018年の設立から着実に業績を伸ばし、来年に50人規模に達する。2028年の上場を目指し、選手のデュアルキャリア支援をさらに充実させる方針だ。

後半へ続く。