GUEST INFORMATION

河谷 逸史

株式会社Stables

https://www.stables.jp/

飲食人(食を通したエンターテインを企画運営実行する人)、サービスパーソン ・1973 年 東京育ち(渋谷区生まれ、板橋区育ち) ・新卒時代から飲食業界に携わり、2008 年から(株)ワイズテーブルで新規事業の立ち上げを牽引。 ・2016 年から(株)LUMINE の飲食戦略事業 PJT 運営面での立ち上げから、その後の法人化に従事 ・4 人家族、2 人の子どもを持つ父親。 ・趣味/読書、スキー、朝ラン、水泳など ・極真空手 4 級(緑帯)

1:相手にではなく相手のために

前編では仲間や上司に恵まれ、道から逸れると修正してくれた人やチャレンジの機会を与えてもらい自分も挑戦できたから今があると話してくれた河谷氏は、現在はLUMINEの子会社である株式会社stabelesでナポリピザレストラン「800°DEGREES NEAPOLITAN PIZZERIA 」と大型マーケットの「2416MARKET」の運営と企画開発に携わっている。やはりコロナ禍は苦労したかを聞くと「我々の価値、存在価値を問われ非常に苦しかった」と振り返り、コロナ禍を経て今、通常に戻ってきている中でお客様が求める価値が多様になり外食に対しての価値を改めて見直し、期待にこえていく価値を考える時期だと感じているそうだ。外食せずともデリバリーやテイクアウトの中食、お家で食べる内食、コンビニの冷凍食品のクオリティも上がり飲食全体が充実し外食に対してどこに何に価値を見出すのかを見つめ直した時に、やはり心のこもったサービスがお客様に届けば支払った価格以上の価値が感動を与え次に繋がりファンになるのではと考えている。サービスを提供するには会社内の組織文化をしっかりと作り上げていくこと、それぞれの課題をしっかりと克服していくところも河谷氏は大事にしている。「泥臭いことをやらないと組織文化は作っていけない」と感じているそうだが、テクノロジーが発達し、ロボットやAI頼みの風潮がある中でニューヨークのUnion Square Hospitality Group の創設者兼会長ダニー・マイヤー氏が言ったホスピタリティというのは相手のためを思って何かをすることだ、相手に何かをすることではない、「相手のために」と「相手に」では意味が大きく違うという言葉に共感し、お客様のため、仲間のために何ができるかを常に意識し、人間が人間にサービスをする以上、日々トライアンドエラーを繰り返しながらも楽しみ真摯に取り組むことに重点を置いている。

2:大人世代の心構え

世代ギャップはあまり気にせずに時代が変われば考えも変わる、だからこそ基本の心構えが大切だと河谷氏は考えている。お客様のために心のこもったサービスを提供し感謝されたら嬉しい気持ちになりファンができ楽しいと気づけば仕事も継続していくはずであると。何よりも大人世代がきっかけを作り、方法をきちんと伝えているか、伝えていないからではないかと続けてくれた。例えば、挨拶をしない子に元気に挨拶しようと言ったその大人たちは元気に挨拶をしているのか、その姿勢や背中をちゃんと見せているのか、見せてない人が今少なくなっていないか、若い世代にばかり目を向けずまずは自分自身を見つめ直すべきではないだろうかと説明してくれた。情報量と選択肢が多い現代では楽しそうじゃないなとか、輝いていない人の言うことを聞いてもしょうがない、人にばかり言って自分はやってないじゃんと大人世代は見透かされているではないだろうか。有言実行の模範を示し、輝いている人が身近にいたら世代、年代は関係なく必ずついてきてくれるはずだからだ。そう話してくれたが身が引き締まる思いであった。

3:揺るぎない永続的な本物の価値

社名のstablesは揺るぎない、永続的な意味を持ち、我々が追求している価値が本物であるとすればそれががやがて普遍的なものになるという意味を込めて社名にしていることから色々な政策や活動をしお客様にしっかりと届けられるように提供し続けられればいいなと思っているそうで、今後の展望としは地域の生産者や企業とのコラボレーションを深め、新しい価値を創生していくことを挙げてくれた。コロナ禍が終息しニーズが多様化してきている中でサービス自体も多岐に渡り企業があらゆる策を投じているがどこにフォーカスするかがこれからは問われていく課題と考えているそうだ。ホスピタリティ産業に従事し、コロナ禍ではそのホスピタリティ自体が必要とされずもがき苦しんだからこそ、お客様のために、仲間のために何ができるか、食とお店を通じて何ができるかを1人1人がしっかりとマインドを持っていれば新しいものが生み出され可能性がもっと広がるのではないかととても前向きに考えていると話してくれた。そして何よりも楽しむことが大事だと。同じルーティーンを毎日毎日続けていれば誰だって自分は何をやっているんだろうと悩み苦しむが、いかに面白くさせていくかによって繰り返す中でもやがて嬉しいと言う思いが芽生え追求しプロフェッショナル領域に達する、それまでのステップをいかに踏めるかが重要である。目先の売上や目先の回転率などそれだけが目的になってしまうと仕事自体がつまらなくなってしまうからやはりお客様との触れ合いや仲間との触れ合いも大事にしとにかく楽しいと感じることが非常に大事だと思うそうだが、常に問題視されている若い世代の飲食業界離れについて聞いてみると、飲食業界は威力的で可能性に満ちた分野であり、自分はそれを次世代に繋げ継承していきたいと最後に話してくれた。

自身を遠回り人生のおっちょこちょいの人生だと表現していたが、決して遠回りではなく人との出会いを大切にし経験をを積み重ねゆっくりとしっかりと歩んできたのではないだろうか。そして常に楽しみ面白さを探求し周りの人に感謝と尊敬、愛を持っている人でもある。若い世代に寄り添う、こんな楽しいことがあるから一緒にやろうよと言葉ではなく背中で語るかっこいい大人像を目の当たりにしたように感じた。