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近藤 佑太朗

株式会社 UNITO 代表取締役社長

https://unito.life/company/

1994 年 11 月生まれ。28 歳。東京出身。東欧ルーマニア育ち。 幼少期の 3 年間、父の仕事の都合により東ヨーロッパのルーマニアで育つ。 明治学院大学に入学し、大学1年次、国際交流を軸に活動する"学生団体 NEIGHBOR"を設立。 クロアチア留学ではビジネススクール「ZSEM」にて観光学を勉強。 その後、国内スタートアップ『air bnb JAPAN』で修行。 2017 年 起業(大学 4 年時) 2020 年 総額 1.2 億円を調達。帰らない日は家賃がかからない住まい「unito」を発表 2022 年 総額 2.5 億円を調達。東急と物件を共同開発するなど、さらに事業を拡大 2023 年 三井不動産、文部科学省などとの協業を発表。 大手不動産・政府関連団体との協業を繰り広げ、今の不動産業界を取り巻くキーパーソンを巻き込みながら、次の時 代のあたりまえの暮らしを創っている。

居住者が家に帰らない日に、宿泊者に部屋を貸すことで家賃を下げることができる仕組み「リレント」を導入した物件マッチングプラットフォーム及び物件開発/運営事業を展開する株式会社Unitoの代表取締役社長の近藤佑太朗氏の会社経営者を志した10歳、21歳で会社を設立、そして現在に至るまでの話を聞いた。

1:10歳で経営者を志し、大学生で民泊サービスを始める

とてもエネルギッシュで物怖じしない印象の近藤氏はにわかに信じがたいが、幼少期はとても内向的な子で、3歳から7歳までルーマニアで育ったことで外向的な現在の彼が形成されたそうだ。帰国後に日本の小学校に通っていた4年生の10歳に“二分の一成人式”という行事があり将来の夢を発表する宿題が出た。両親は共に教師で家にいないことも多く正直魅力を感じていなかったが逆にとても明るく破天荒な経営者である祖父に「かっこいい」と思い自分も会社経営者になろうと閃く。きっかけは学校の宿題とは言え起業家を目指したのがわずか10歳だったとは驚きである。そこから「経営者」に的を絞り就職をする選択肢がない近藤氏は自分の学びたいことは何かを模索していた時に観光学に興味を持ち明治学院大学へと進学する。大学一年生の時に国際交流に興味がある日本人と日本にいる留学生をつなげる国際交流ネイバーという団体を立ち上げる。国際交流関係の学部に所属していない学生も国際交流に興味を持つ学生が意外と多いことに気づきイベントや授業などを行い大使館から協賛を得るなど活動の場をどんどんと広げていく。その時にAirbnbから学生の夏休み冬休みに留学をする時に家を借りないかと連絡があり、これは面白いと無給で手伝いを始める。非常に面白い仕組みではあるが個人でやるのは難しいと判断し、不動産会社へと出向くが今や世界191カ国以上で利用されている民泊サービスだがまだ当時は今ほど認知されていなくなかなかパートナーが見つからない中、とある不動産会社のプロジェクトに入り業務委託で関わることができた。まずは空いているマンションをリノベーションし民泊を始めると瞬く間に売り上げを伸ばしスタッフも20名ほど雇い、半年で7都道府県130部屋ほどを運営するまでに成長させるが、2018年に民泊新法が施行されやむなく撤退を余儀なくされてしまう。

2:ユニットの事業内容

その後、別会社を立ち上げ創業1年半で、国内5拠点(伊豆大島・六本木・代々木上原・成田・雑色)、海外1拠点(Cambodia,SiemReap)でCARAVANシリーズの宿泊施設・ Co-livingを展開。
Co-livingとは「職住一体型施設」のことで、シェアハウスとの大きな違いはコミュニティに価値を置いた共同生活モデルで充実した共有スペースとワークススペースを備えている点である。また、生産性の高いコアワーキングスペースに力を入れているリモートワーカー向けのもの、地域文化やアクティビティを楽しむトラベラー向けのもの、3ヶ月以上といった長期滞在が条件のローカル向けシェアハウスに近い子リビングもある。そういった施設を観光客が多いが物件数が少ない地域に多拠点移住のプラットホームを構築する目的であったが、展開していた5事業を2019年6月事業譲渡、2020年2月総額1.2億円を調達し、「外泊するほど家賃が安くなるサブスク住居unito」を2019年に発表しサービスを2020年2月からスタートさせる。

3:使わない日は家賃が割引になるサービス

出張が多かった近藤氏はある時に、「自分は月の半分しか家にいないのにお隣さんは毎日家にいて同額の家賃を払っている・・・めちゃくちゃ勿体無いな」と思い、日本で初めて外泊したら家賃が安くなる「リレント」という料金システムを閃く。出張がお多い人はもちろんのこと、仕事などで家に居ない人は1度は家賃がもったいないと思ったことがあるだろう。しかし、家賃は毎月同じ額を払うことが当たり前であり、安くなることは現実的ではなかったと思う。現にこの家賃というシステムは幕府の時代から始まり300年間アップデートをされないまま今に至っているそうである。固定概念とは非常に恐ろしいと思いながらも実際はどういうシステムなのか詳しく聞くと入居者が家に居ない日を宿泊施設として貸し出し、使っていない日の家賃を節約する仕組みである。申請方法も非常に簡単で入居者向けのアプリを通じて不在にする日程を入力し、借りたい人はそこから自分のニーズにあった都市や部屋を選ぶことができる。更に、クローゼットや冷蔵庫には鍵をつけることができ、自分の荷物は家に置いたままで良く、提供した際はユニット側が清掃も行ってくれるので衛生面も心配がない。イメージとしては自分の家をホテルと想定して宿泊客に貸し出すのが最も近いかもしれない。月の半分ほど家に帰えらなければその分、別途宿泊費が発生するが毎日ホテル暮らしをする訳にもいかない。その点、家に居ない日を利用したい人に貸し出すことで家賃が抑えられるとはまさに双方にメリットしかない画期的なシステムである。
また、大手ホテルチェーンや不動産会社と提携し、サービス拠点を全国に広げているので、数ヶ月だけ住みたい人や初期費用を抑えたい人、2拠点多拠点で生活する人など現代の多様化した生活スタイルにも柔軟に対応できる点も魅力的だ。そして驚くことに単身向けサービスかと思うが、家族やグループ向けの広々とした物件や、ホテル、自社で不動産も運営するなど住まいに関しては全て網羅しているといっても過言でない。