GUEST INFORMATION
下村 尊彦
株式会社日生リビングシエスタ
株式会社日生リビングシエスタ 代表取締役
https://www.nissei-livingsiesta.co.jp/
東京都東久留米市に生まれる。大学卒業後、大手不動産企業株式会社アーネストワン、株式会社イントランスに就職父の体調不良がきっかけとなり、跡を継ぎ、前身となる日生販売株式会社に入社。
債務超過・リーマンショック等、数々の逆境の中、事業を建て直す。従業員をはじめ、お客様、取引先など、関わるすべての人に対し、常にフラットで誠実な会社であり続けることをモットーとしている。
不動産とアパレル2社の取締役を務める下村氏をお迎えし、業界の異なる会社の運営方法、経緯など興味歩合話が聞けた。前半は不動産である株式会社日生リビングシエスタ、後半はアパレルのHONEY MI HONEY・MAISON ELLIEといつもとは少々違った展開でお届けします。
1:不動産投資
創業67年、設立は54期目を迎えた不動産会社である株式会社日生リビングシエスタは主にディベロップメント事業、請負プロデュース事業、資産運用及び管理事業を3本柱とし運営している。資産運用を軸にした不動産と建築は下村氏の代になった後の約7年前に本格的に始動したそうだが、祖父、父親と代々受け継がれていた歴史ある会社である。昔に比べ投資や資産運用に関しての選択肢も増えリスナーの方々も利用している人も多いかもしれない。しかしまだ、何から始めていいのか迷っている人も同じく多いのではないだろうか。そこで直球ではあるが不動産投資の現状やリスクなどについて詳しく聞いてみることにした。不動産投資=億単位の大きい額をイメージし敷居が高く資金はもちろん高所得者でないと投資は難しいのではという印象が強いように感じるが、実は東京都内マンションの一室であれば300万~500万ほどでも売りに出ているそうだ。一棟と一室ではそれだけ金額の差も大きくなる分、自分の資産や経済状況によって選ぶことも出来るが、何より大事になってくるのが「場所」だ。家賃収入などの不労所得は住む人がいないと成り立たない、当たり前だが意を決してせっかく買っても空き家の状態が続けば収益にはならない。都心にするのか郊外にするのかリゾート地にするのかに加え、今はマンションや土地以外にも倉庫やホテル、民泊など選択肢が増え良いことではあるがその分悩みの種も増える。この時点で、どうしたらいいのだと頭を抱えそうになるがそういったことを全て「どうしたいか」に寄り添いながら賃貸収入の最大化を支援し、いわゆる不労所得の実現をサポートしアドバイスをしてくれるのが下村氏が行なっているビジネスだ。お客様からの要望は多種多様だと思うが、ローリスクローリターンで安定的にいきたい、リスクは高くても攻めの姿勢でいきたい、でもリターンは求めるなど投資スタイルの相談も多いそうだ。全体的な資産運用の中で不動産はミドルリスクミドルリターンと呼ばれ中間に位置しているそうだが、時代の流れに乗り逆らわないことが大前提ではあるが先見の明が重要となってくる。今で言うとやはりインバウンドが強く宿泊施設なども人気ではあるが買いたい人が多い=物件価格が高騰し利回りが下がる、つまりは安易に今流行っているからと飛びつくのではなくインバウンドが次に行きたいであろう場所や土地を予想し先回りをしないといけないのだ。慎重に時に大胆に攻める、それが不動産投資なのだろうととても勉強になった。
2:マイホーム
日生リビングシエスタ社は昭和47年から東京都の東久留米に会社を構え祖父の代から続く不動産業一家に生まれた下村氏だがキャリアのスタートは建築業だったそうだ。建築学科出身ということもあり、土地土地に合ったデザインを想像し家を建てる「もの作り」をする立場である故、完成した家を売って自分の手から離れて終わりではなく自分が作ったものはずっと見ておきたい気持ちが大きく「我が子のようなんです」と話していた。その思いから下村氏の代から建設業を取得し、くつろぎのある住空間を提供する為に、ひとつひとつこだわりを持ってデザインすることに特化したLIVING=生活、SIESTA=くつろぎから由来する新築戸建てシリーズの「LIVISIE(リビシエ)」をスタートさせる。木造、鉄筋コンクリート、鉄骨などの構造はもちろんのことお客様が空間をどのように創造したいかに重点を置き、木のような質感、無機質な打ちっぱなしのつくりなどの素材、天井の高い開放的な空間など可能な限り要望にお応えする姿勢で取り組んでいる。その中でも下村氏は「窓」を大事にしているそうで窓から見える景色、密集する立地ではお隣さんと「こんにちは」とならないように配置に気を付け上下左右、大きさなどにもこだわり空間デザインに工夫を凝らしていると話してくれた。オーダーとなると1人1人、1家族の分だけ要望が異なり莫大な要望があると容易に想像がつきまとめきれないのではとつい聞いてしまったが「それをまとめるのが自分たちの仕事なので」と穏やかに答えてくれたが、あまり要望はないかなと答える人に限って質問すると引き出しがすごく理想像がどんどん出てきて収集がつかなくなるという面白いエピソードも教えてくれた。因みに下村氏の地元でもあり会社の所在地でもある東久留米市は都心から遠からず近からずの所謂ベッドタウンと呼ばれる地域であり都心に比べ生活する人たちのスプード感も緩やかで落ち着いた物件も数多くあり30~40代のファミリー層に加え20代の方にも人気のエリアだ。収益物件や投資に関しても比較的安定しており、賃貸や購入含めて手の届く範囲の実際に住むことに適した子育てもしやすい土地であると紹介してくれたので興味のある方は是非、参考にしていただきたい。
3:投資型人材育成
下村氏が代表取締役に就任して12年が経つが不動産業界も随分と変化してきたそうだ。成熟した業界でそんなに変わらないのではと思ってしまうが異業種の人たちがどんど参入し、新しい視点で攻めている面白いアイデアなどが飛び交い刺激をもらっているそうだ。しかし、新しいものや変わり種が出てくる中で60年以上築き培ってきた普遍的な価値や基盤となる考え方は大事にしながらも売って買って手が離れてしまうよりは積み重ねて今後に活かしていくとうい点、考え方は自身でガラリと変えたそうだ。古き良きものも大切にする下村氏だが新しい風を取り込む「攻め」の採用方法を教えてくれたがこれがとても興味をそそる内容であった。現在日生リビングシエスタ社は15名の社員が在籍しているが、全員未経験者だそうだ。どの会社も即戦力となる経験者を欲しがり採用するのではと思ってしまうが「基本、未経験者しかとらないです」と断言するその真意を聞くと、先入観があり違う考え方や価値観を持って入ってくるよりも真っさらな状態で自社の組織やシステムに合わせてもらった方が例え育てるまでに2~3年かかったとしてもやり易いと答えてくれた。採用歴のある人も多種多様で消防士やパティシエ、美容師や俳優など多岐に渡り事務職の経験がない点もとても面白い。オフィスワーカーとして事務職に慣れること自体も大変だと思うが「今後の会社を左右する人材なので経験やスキルよりもその人のポテンシャルを見て採用しているという方が正しいかもしれないですね」と現在よりも未来に賭ける資産運営のアドバイスをビジネスにする下村氏らしさが存分に分かる考え方だと思った。
前編は不動産業について、投資や資産運営のイロハ、業界の流行りなどとても興味深い話が聞けたが、なぜ真逆とも言えるアパレル業界に参入したのか?そのきっかけは何だったのだろうと、どんな話が聞けるか楽しみで仕方がない。