GUEST INFORMATION

山本 真紀子

株式会社Juno Japan 代表取締役CEO「ADVENTUREKING」 編集長

株式会社Juno Japan 代表取締役CEO「ADVENTUREKING」 編集長
https://adventureking.jp/

<ゲストプロフィール>
早稲田大学卒。 某メガバンク総合職退職後、株式会社JunoJapan設立。 アパレルブランドPR等ファッション関連ビジネスを経て、ライフスタイルマガジン「ADVENTURE KING」編集長(2012〜現 在)/女性誌「MARIA oriente」編集長。趣味ランニング、飲酒。旅とワインをこよなく愛する冒険野郎。

株式会社Juno Japan 代表取締役CEOであり、人生の冒険をテーマにした雑誌「ADVENTURE KING」の編集長である山本 真紀子氏の書くことに魅了された人生とは?冒険とは。

1:文字

冒険の代名詞である「旅」を中心にインタビュー・ファッション・グルメ・エンターテイメント・スポーツなど守備範囲広く展開し、全てのコンテンツは「冒険したくてたまらない」「冒険したいけれどどうすればいいかわからない」「冒険なんて視野にない」全てのひとへ“前に進むきっかけ”を見出してほしいという思いで構成され“常に人生に挑戦し続ける人”を“冒険野郎”と呼び、彼らにフォーカスをあて記事にしているフリーマガジン「ADVENTURE KING」の編集長を務める山本氏は、物心ついた時からペットボトルの文字などあらゆる「文字」を読む事が好きでそれが高じて読書を越え小説を書いていたそうだ。特に純文学の微妙な言葉の言い回しや男女の恥じらいのある表現方法や文化全てが好きで星新一や江戸川乱歩、安倍工房、三島由紀夫などを好んで読んでいたと教えてくれた。しかし金融一家に育ち大学は商学部に進み卒業後は某メガバンクの総合職に就く。文字が好きだった少女にはやはり数字とは相性が良くなかったようだが、何よりも会社の張り詰めた緊張感のある空間にここは私の居場所ではない、私は私しかできない仕事がしたい、それが神様がくれた私の仕事だと思い1年で退職を決意する。1年間資金を貯めたが「箱」さえあれば何かできるのではないかと当時は明確な事業内容は決めていなかったそうだがやはり書くことを仕事にしたい気持ちは忘れられずサッカークラブ大宮アルディージャのファン会報誌の中の地元応援団の方に話を聞いて記事にする仕事をするが1記事3000円のギャランティは交通費に消えてしまいこれは考え直さないととマーケティング業へと進む。読者モデルの友人にダイエット商材やサプリ、コスメなどを渡しアメーバブログ通称アメブロに感想を書いて投稿してもらう現在のインフルエンサーマーケティングの走りでもあることをやっている内に文章を気に入ってくれた外資系のアパレルブランドから日本でモバイルサイトやメルマガ配信をしたいと声がかかりデジタルマーケティングを任されることになる。紆余曲折ありながらようやく現在の雑誌に近づいたがまだまだドラマはありそうだ…。

2:ファッション

文字が好きで小説を読み、時には自作の小説を書いていた幼少期と同じくして山本氏のお兄さんがファッションが大好きで当時の90年代はシンディ・クロフォードやクラウディア・シファーなどの所謂スーパーモデルが活躍し社会現象にもなる程大ブームだったこともあり、その影響でモード誌を読みファッション通信という深夜に放送されるランウェイの様子を放送する番組を観たりと子供の頃からハイブランドのファッションに触れてきた。先手で声のかかった外資系ブランドもラグジュアリーブランドで色々なラインを手がけている中で山本氏が担当したのは若者向けのラインだったが、2000年初頭はちょうどファストファッションブーム、ハイブランドは買わない傾向にありどのブランドも大苦戦を強いられていた時代だ。担当していたブランドも同じく悪戦苦闘しながら若者と接点を持とうと全国のクラブをジャックしパーティーを開催したり海の家を開いたりと様々な施策を試みたが一時的なもので長くは続かない、すると当時の社長が「雑誌を作ろう」とブランドカタログではなく他のアパレルショップにも置いてもらえるフリーマガジンを作って広告収入を得れば良い方向に向かうのではと提案される。そこでどういったコンセプトにするかと話し合い若者はもっと冒険をした方が良い、ラグジュアリーブランドはただ高いだけではなく本質的に良いものなんだよと、それを経験しないのに高いとだけいうのは違う、とりあえず経験し憧れを持ってもらおうとタイトルから考え内容を固め2012年に立ち上げたのが「ADVENTURE KING」である。ブランドの中からフリーマガジンとして誕生したことにも驚いたが10年以上も続いている秘訣は何か聞いていこうと思う。

3:インナージャーニー

フリーマガジンを始めたが手がけていたブランドが全国の商業施設には入っていたものの実店舗が3店舗しかなく完成した雑誌を片手に真夏の中、汗だくになりながら原宿のキャットストリートのお店を1店ずつ置いてくださいと回ったそうだ。しかしそう簡単にはいかず埒が開かないためチェーン店の代表電話に営業をかけ地道に置いてもらえる店舗数を増やしていく。創刊当初からキャスティング、インタビュー、執筆、デザインと全てをこなしているそうだが表紙が壮々たる方々でとても豪華なことに驚くがその背景を尋ねると、雑誌のコンセプトである若者に冒険をして欲しい、日本の若者を元気にしたいという気持ちを実直に伝えるそれに尽きると答えてくれた。さらにインタビューを通してどんどん深掘りをしていくと皆さんの目つきがぱっと変わる瞬間があるという。挑戦をしてきた人たちだからこそ伝えられること、伝えたいことがある、それは人生の冒険をテーマにしている「ADVENTURE KING」だからこそ深掘りができ踏み込んで話が聞けるからこそエピソードやさまざまな視点の話が出てくる、その話を聞いて山本氏も毎回感動し勉強をさせてもらい勇気をもらっていますと話していた。では、最近の若者たちZ世代の人たちは冒険をどう捉えているのか質問するとインナージャーニー、つまりは自分との対話、自分を深掘りしている人もいるが、今の日本のパスポート所有率が20%を切っている現実その通りにアクティブに海外へ行く人が少ない傾向にある。海外に行くことが全てではないが離れて外から見ることで日本の良さに気付き好きになり愛国心が芽生えることもある「私はこの雑誌を通して愛国心を持って欲しいなとすごく思っている」と、日本人は日の丸がついた服を着たりマグカップを持ったりしないがアメリカ人は星条旗がついたものを身近に置く、「自分の国を愛することは当たり前のことだと思うんです」とハッとさせられる例えを交えて答えてくれた。日本にいると不満やジレンマ、他国が良く見えるのは誰しもが経験があると思うが、安全で清潔で便利で食事も美味しいなど海外に行ったことで日本の素晴らしさやありがたさを再確認できた経験や、他国の人から日本は素晴らしい国だよねと言われ自分が日本人であることに誇りを持ったという経験がある人も多いだろう。自分のアイデンティティを愛せなかったら自分を愛することはできない、だから自分の国を愛することは自分を愛することにも繋がると思うと前半を締め括ってくれた。


前編だけでも数々のエピソードと胸に刺さる話をしてくれた山本氏だがその思想や視点の源、原点はどこから何から培われたのか、文学や小説の中だけではない経験の賜物であるような気がしてならない。後編では山本氏のインナー=本質的な内面を探って行きたいと思う。