GUEST INFORMATION

松重 尚志

株式会社ワークマン 広報部

株式会社ワークマン
https://www.workman.co.jp/

<企業プロフィール>
日本国内で作業服やアウトドアウェアを手がける企業。1979年の創業以来、「高品質・低価格・高機能」の商品を提供し、建設業や製造業などのプロフェッショナルから支持を得てきました。近年では、一般消費者向けのラインナップにも注力しており、アウトドアやスポーツ、日常生活に対応する幅広い製品を展開しています。特に「ワークマンプラス」や「WORKMAN女子」などの新業態店舗の成功により、ファッション性と機能性を両立した商品が注目を集め、ファッション業界でも存在感を高めています。ワークマンは、常に消費者ニーズを追求し、全国規模で店舗展開を拡大することで、日本の生活をより便利で快適にする企業として成長を続けています。

1982年に群馬県で創業した作業服専門店の株式会社ワークマンは現在、全国47都道府県全てに出店を果たし1019店舗にまで拡大。作業服だけにとどまらず普段着やアウトドア着として若い世代にも人気のデザイン性と機能性を併せ持つ商品ラインナップの誕生背景や同社の事業展開や商品開発の経緯、ターニングポイントなど広報部の松重尚志氏をお迎えし驚きの発想を取り入れた商品紹介を交えながら話を聞いた。きっと買いたくなる着たくなること間違いなしのためメモを片手に是非聞いていただきたい。

1:用途に合わせたライン構成

ワークマン=作業服のイメージが強いと思うが実は元々ベイシアというスーパーの分業として設立された会社だが現在は「カインズ」「ハンズ」などの物販チェーン7社を中心に30社で構成する流通企業グループで、2020年10月に「グループ売上1兆円」を達成し極めて強固な一体感のもと、グループ間で各社が連携して商品開発や共同出店などを行っている。社名のワークマンは作業服の「ワーク」と覚えやすい響きの「マン」を組み合わせたそうだがその通りに非常に覚えやすく、尚且つ社名と商品が一致する点も1019店舗もの拡大を実現した1つの要因ではないだろうか。店舗拡大と共に作業服、作業用品を中心とした「ワークマン」の他にプロ向けのワーキングウェアから休日や一般の洋服をハイブリット化した「ワークマンプラス」、作業服や作業用品を一切置いていないカジュアル向けの「ワークマン女子」、さらにデザイン性の高いものを中心に取り扱う全国に銀座1店舗しかなく貴重な「ワークマンカラーズ」と様々な業態を展開しているが、この中でも歴史の中でターニングポイントとなり大きく変化したのが2018年に初出店したワークマンプラス。外の作業で使用されていた防水防寒の機能が搭載されたAEGISイージスというウェアがバイク乗りの人たちに話題となり、機能性に加えその手に取りやすい安さも相まってたちまち人気となる。その後、作業着以外でワークマンの名を世に広めたと言っても過言ではないのがやはり「ワークマン女子」ではないだろうか。「マン」と「女子」のその違和感こそが人々の興味をそそりSNSでもハッシュタグが一時期トレンド入りを果たすなど一気に広まったが当初はワークマンプラスのメンズ服を着てアウトドアに行く女性たちが#ワークマン女子とタグ付けをしてSNSに投稿したところからその言葉が誕生したそうだが「誰がつけたのか分からないんです」と松重氏も笑っていたが店名にもなるほどバズりを見せブームとなった火付け役が不明とはなんとも面白いなと思った。作業服とアウトドアは決して近しくはないが機能的には打って付けで現在は、社外取締役を務めるインフルエンサーのサリーさんがキャンプの時に火が燃え広がりにくい溶接用のウェアを着て安全面と機能性をアピールした投稿を発信するとコロナ期の一人キャンプブームも後押しをしどんどん広がっていったそうだ。溶接用の作業着をキャンプできるとは着眼点が流石である。

2:機能性と低価格

防水防寒、防火難燃などの耐久性の強い商品の他に最近人気なのがゴルフウェアだそうだ。作業服は耐久性に加え動きやすさ、軽さなどの機能性も重要となってくるため、キャンプ同様に遠い存在の様に感じるがワークマン社にとっては、なるほど得意分野なのかと納得できてしまう。3D CADシズテムを用いり動きの中で負荷のかかり方を検証・改善しより良いパフォーマンスへと導くなどテクノロジーを駆使している点も本気が伺える。公式アンバサダーにゴルフYouTuberのNAOYUKI氏を迎え製品開発に参加してもらうなどプロの意見も取り入れている一方で新たにゴルフを始める人がウェアやグッズを低価格で揃え、その分ゴルフ練習やコースといった「コト消費」に支出を回してもらいたいという思いも納得の驚きの価格設定は企業努力の賜物である。また、ファッション好きに大好評のモンスターパーカーシリーズはアパレルブランドに引けを取らないデザインと耐熱性のある樹脂の被膜を作ることで、生地の溶解を遅らせ、火の粉等の飛び火による穴あきがしにくくなるのが特長の機能FLAME-TECH®(フレイムテック)を搭載、防寒面は天然ダウンを40%(ダウン9:フェザー1)60%には吸湿発熱の機能性中綿(ポリエステル8:アクリル2)をミックスすることで暖かさを補完しながらさらに裏地にはブラックアルミ素材を使用し保温性能むプラス、撥水加工もしていながら自宅で洗濯機で洗えるなど何か欠点を探す方が難しいのではと思うほどの完璧なアイテムである。そしてワークマンの高機能で低価格な製品を落とし込んだ子供服は、大人用のウェアを120~150cmにリサイズし、素材も大人用と同じ高機能なものを使用しているのが特徴。 撥水性、接触冷感、軽量、ポケット付き、UVカットなど、ワークマンらしい機能性に優れた子供服を低価格で揃えている。家族でキャンプに出かける時に一式を揃えるとなると相当な金額になると思うがそれが低価格で機能性抜群の商品が揃う点はワークマンならではの強みではないだろうか。尚、商品に対してだけではなく、現場で仕事をされる方は朝が早く緊急で何か必要になることも多いことから開店時間も朝の7時からというお客様からの声をとても大事にしている点も愛されるブランドであることに結びついていると感じる。

3:新商品とアンバサダー

ここ近年の夏の異常な暑さの影響で見かけた方も多いであろう作業着にファンが付いた所謂、空調服が一気に主流となったが、猛烈な暑さでは温かい風が循環している状態で熱中症対策にはなるが炎天下の中で作業をする人たちにとってはそこまで涼しさを感じることができなくなっていた事に着目し、直接涼しくなるウェアを開発しようと誕生した「ペルチェベスト」を紹介してくれた。ペルチェ素子で体を暖めたり冷やしたりできる「ペルチェベスト」は、エアコンなどに使用されている半導体素子「ペルチェ素子」を用いて体温を調整する冷暖房服。ウェアに取り付けられている「ペルチェ素子」を採用した機器をバッテリーと接続することで、部分的に冷却・加温して体温を調節する。開発に4年を費やした自信作であり2023年に発表し、2024年の夏には5万着が即売したそうだ。前述した通りに多くの業態を展開しシーズン毎に発売するアイテムは800種類を超えるというが改廃しながら新しいものを作ることからアンバサダー制度を導入している。ワークマンを好きな人、ワークマンの情報を発信してくれるインフルエンサーに商品を使ってもらい良い点悪い点を一対一で聞かせていただきそこから開発に活かしていく方法をとっているそうだ。当時の社員が関西出張に行った際に作業服が繁盛していると聞きつけ創業のきっかけとなり、休日にも着れるような普段着に寄った作業着が欲しいというお客様からの声で誕生したワークマンプラス、SNSで広がりそのまま天命に採用されたワークマン女子などワークマンの強みは、お客様の声に真摯に耳を傾け、ニーズに応えた商品開発を行うこと。お客様のニーズを的確に捉え、高機能で実用的な商品を提供し続けていくことが期待される。

愛用しているファンだからこそ気づかないことや発見すること、満を辞して搭載した機能がさほどファンには刺さらなかったなどもっと興味深い話がありそうだ。ワークマンの商品を着用してアンバサダー気分で商品採点などしても面白いかもしれないなと思つつ、そうしている内にここにも機能が搭載されていると発見し、まさに沼状態に陥るとはこういうことかと話を聞きながら思ってしまった。前編は商品について詳しく聞かせていただいたので後編ではワークマン社についてもう少し深掘りいこうと思う。