GUEST INFORMATION
今井 了介
Gigi株式会社 代表取締役社長
https://www.gigi.tokyo/
1971 年生まれ。
作曲家 / 音楽プロデューサー。起業家。
1995 年にキャリアをスタートし、プロデューサーとして HIP HOP / R&B を中心に数多くの作品を生み出す。
'05 年にはスタジオ "Studio Vision" の開設を機に、次世代プロデューサー・アーティストの育成をスタート。安室
奈美恵『Hero』や、TEE/シェネル『ベイビー・アイラブユー』などを手がける。作家・プロデューサーのエージェ
ンシー(有)タイニーボイスプロダクションを創業・主宰。2018 年、WEB ギフトサービス「ごちめし」で Gigi 株式
会社を創業。コロナ禍の先払い店舗支援「さきめし」、社食サービス「びずめし」、地域の飲食店を利用する「こど
も食堂」、法人向けギフト「GOCHI for ビジネス」を運営。
1:困窮家庭の子供達の名誉とプライバシー保護
NPO法人Kids FuturePassportの代表理事も務める今井氏は、こどもごちめしにも注力している。この取り組みは子供達の支援と同時に地域飲食店の売り上げをサポートし運営する自治体などの初期及び運営費用の負担も少ない「三方よし」の次世代子供食堂として運営している。先週も話にあがっていたが日本の貧困層は約220万人いるとされており様々な取り組みが行われているがその裏では、スティグマという言葉が悲しいことに存在し、親は周りにお金に困っていると思われたくない、子供は支援食堂に行って学校の子に知られたくない、貧乏なんだろうとからかわれたりいじめられたくないなど非常にセンシティブな理由もあり頻繁に通うことに懸念する家庭もあるそうだ。確かに人様の懐事情は繊細であり明確に分からないこそ憶測で判断してしまう、されてしまうこともあるのも事実だ。そこで今井氏は今後としてデジタル庁のマイナポータルAPIと提携し本当に必要としている困窮している家庭の子供を抽出し正しく届けられるようなサービスと今井氏の様なサービス事業者側が個人情報を持つことなくサービスを多くの人に提供できる環境を目指している。そのためにはやはり飲食店とサービス両方の増加が不可欠であり、困窮家庭の子供が食事をしに来たことが周りに分からないような配慮とプライバシー保護が課題となっている。日本だけではなく世界中でも貧困は深刻な問題となっているが、アメリカに関して興味深い話をしてくれた。アメリカは日本の人口の約3倍とされているが外食産業は約4倍となりチャンスは更に広がる。外食産業は拡大し大きくなっているがアメリカの経営者が抱える問題としてリモートがスタンダートとなり出社しないことが挙がっており、そこで社員食堂で使える「びずめし」を導入すれば出社をする機会となるのではないかと考えているそうである。個人的に出社をしなくて困っているという点がなんともアメリカらしいなと思った。
2:自治体との連携
企業や自治体から協賛をいただく形が正しいと思った事例として、茨城県境町という町は人口約2万4000人の決して人口が多い地域ではないがふるさと納税を活況に運営している自治体であり、ふるさと納税の返礼品として自分が納めた税金を何に使って欲しいかのチェックボックスに子供支援があり14店舗ほどの飲食店が登録をしてくれそこに子供達が食べに行くと納税された金額が飲食店に支払われるという仕組みを作った。結果、人口約2万4000人の街で3年間で6万食が出たという。自治体と一緒に取り組むことでよりパワフルに地域貢献を可能にした事例である。今井氏も「地元の飲食店に貢献できて、何より6万人の子供のお腹を満たしたって嬉しいですよね」と話すように、今、返礼品の方が話題となっているが地域の応援、地域創生これがふるさと納税本来の姿ではないだろうか。また、企業が自治体にエリアを区切って支援しているパターンもあり、京セラ株式会社がスポンサーと共に京都の伏見市の飲食店を対象に「こども京育食堂」を運営、名古屋の大須商店街では名古屋市長と共に取り組みをしたり、好きな都道府県を選びその地域のみに支援をするなど今井氏は全国で様々な取り組みを行っている。今井しの本社は福岡県に拠点を置いているが47都道府県の中で貧困が45位のワースト2であると教えてくれた。大都市なのにそんなにも貧困層が多いのかと驚いたが、同様に新宿も煌びやかな街ではあるがその分コントラストの激しい街でもある。都市部だから豊かであり貧困が少ないと言っていられない現実と共にスティグマと言われる人たちが助けて欲しいと声をあげづらい現状も確かである。「だから日本が今こういう状況だってことを多くの人に知ってもらいたい」と今井氏は精力的に発信し、活動家たちに声をかけ自ら行動を起こしている。
3:感情が動くところに新しい経済が動く
ペイフォワードつまり自分が受けた善意を他の誰かに渡すことで善意をその先に繋げていくことを今井氏は大切に考え、こども食堂に今食べた食事代を寄付をするボタンを設け、興味がない方はそのままスキップし興味のある人は寄付をするシステムを採用している。ペイフォワードを受け取った側が少しでも自分も何かできないかと思ってくれる気持ちにあって売れたら嬉しいなという願いの意味も込められているそうだ。サービスを利用した人に押し付けるのではなくきっかけを託し、そして行動する。「ボタンを押す」というたった一瞬の行動の価値はいずれ大きなものとなり、また誰かが幸せになるその積み重ねが優しさの連鎖となる。今、支援を受けたこども達が誰かからの善意を思い出しいつか困っている人に手を差し伸べる日が来たらいいなと今井氏の話を聞きながら思い、人の役に立ちたい応援したいと思うことはあっても何をしていいのか分からないそのジレンマを解消してくれるサービス「ごちめし」「こどもめし」は今すぐにでも始められる身近でとても思いやりに溢れるサービスだと心を打たれた。音楽を通したくさんの人に感動と幸せを届け、今は更に違う形で誰かか誰かを幸せにするサービスを提供する今井氏の話を私も誰かに伝えそして更に広がるように自分も少しづつだが「思う」だけではなく行動に移そうと強く思った。