GUEST INFORMATION

星野 崇史

株式会社 Maenomery 代表取締役社長

https://maenomery.jp/

1986 年 4 月 7 日生まれ。浦和レッズユースを経て、流通経済大学卒業後、ザスパ草津やジェフユナイテッド市原・ 千葉リザーブズ、パラグアイ 2 部リーグ等でプロサッカー選手としてプレー。引退後、当初 3 名だった人材会社へ入 社し 2 年後に取締役へ就任。トップセールスマンとして活躍し、100 名規模の会社へと成長させる。

1:離職率の高さと求められるリーダーシップ像の変化

現在、どの業種でも課題に上がり問題として抱えている若年層の離職率は、新卒生に限ると1年未満の離職率が約30%とかなり深刻な状況である。どんなに人気の企業でもこれは起きている状況で、一昔前の忍耐力だけでは通用しないのは勿論のこと、売り手市場の現代では情報の多様化によりあらゆる人に多くのチャレンジの場があり企業としては若手の確保にどこも苦戦を強いられる反面、1人1人が目標を立てられない生産性が低いことが企業側の課題だと星野氏は分析する。「メッシぐらい点を取れる人」を希望する企業側が多いように、営業職で言うと体育会系=ガンガン新規を獲得していくイメージがあるが実はそれだけではなく、お客様とコミュニケーションを取り時間をかけて信頼を得ていくことも得意で、営業職以外にもサービス業やマネージメント業、人事部など様々なポジションで活躍する人が多くコミュニケーション能力と協調生が高いことも特徴的である。サッカーでは点を取れる人が必ずしもキャプテンになれる訳ではなく、チームのバランスを取ったり、指示を多く出しついてこいと牽引するタイプと後ろから旗を振りサポートが得意なタイプなど様々であり、時代や職種によって求められるリーダーシップの要素も変わってきている。自身も設立当初は前線で周りを引っ張っていくタイプだったが、人も増え統制を取るために後ろから旗を振るタイプに変わったそうだ。

2:ポジショニングと職種のマッチング

Maenomery社には何度も言うように様々な種目のスポーツ経験者が所属しその分タイプも様々であることから、今後いま保有しているデータベースがAI化されたらこのポジショニングで活躍した選手はこの企業に向いているなど可能性が更に広がる話もしてくれた。現在はまだ実現されていないがスポーツのポジショニングで職種に向き不向きがわかるのは非常に興味深い。「サッカー選手と野球選手の違いは明確なんですよ」と分かりやすい説明もしてくれた。それぞれの大学生選手で例えると野球選手はお揃いのポロシャツで鞄も指定され監督の指示通りに通学するなど忠実な特性を持ち、サッカー選手は自由な服装で自分で判断して通学する。つまり野球は監督の指示通りに忠誠心や協調生を持って動ける業種で活躍しやすくベンチャー気質のゼロから作っていくのが得意で、サッカーは監督が意図する戦術を汲み取りチーム内でコミュニケーションをとりながら局面によって主体的に自ら判断し積極的に動ける人が多いそうだ。とても分かりやすい両極端な種目故、星野氏は企業側にも「野球とサッカーどちらが好きですか?」と聞くこともあるそうである。今後はそれが別の種目でクライアントから指定される日がくるのかもしれない。

3:辛い時こそ見えてくるミッション、ビジョン、バリューの本当の意味

「アスリートはコンプレックスがあるんですよ」と聞いたときに才能溢れ1つのことに特化し誰しもが羨む存在であるから意外だと驚いた。しかし、トップアスリートのように最前線で長く活躍する選手は一握りであり多くのアスリートがここまでしか到達できなかった、ここで断念したなど自虐的になる選手が多くコンプレックスという言葉がアスリートには意外にもしっくりくるそうだ。だからこそ「目先のそのコンプレックスに拘らない方がいいぞ」と話すそうだが実は自身もこの言葉で救われた1人でもある。広く見れる視野と情熱は大事だと話す通りに、自身も含めて海外のチームでプレーを決意する選手に、日本で活躍できなかったのに海外で通用するわけがない、活躍できるわけがないと批判する人も多く、チャレンジしようとしている人をなぜ応援しないのだろう、なぜ背中を押してあげないんだろうと残念に思うを経験したことから「チャレンジと応援で溢れかえる世の中へ」というビジョンを自社で掲げている。そのためにもアスリートの価値を高めアスリート側も応援される存在でいなければならないと感じている。ミッション、ビジョン、バリューは単に掲げるだけではなく、立ち返る際にも非常に大事で馬鹿にできないと実感している為、その中でもバリューに掲げている、

「自責:選択権は常に自分にある」
「全方良し:全ての人々に価値を提供する」

を毎朝朝礼で話し社員にもそれにまつわるエピソードをプレゼンする時間を設けている。話すことで意識し再認識する、そして辛いときにこそこの言葉の大切さや意味が分かるからとても大切にしていると力強く話してくれた。現役を引退しセカンドキャリアとしてテレアポの仕事をやり始めた当初は、サッカー以外で認められた気がして期待に応え結果を出さなければと自分を追い込んでいたが、その「前のめり」な姿勢を評価され、とても大事な要素だとそれから自分自身の核となるワードになり社名に加え、「すべての人々に前のめるきっかけを」というミッションをも掲げている。前のめりの姿勢は別の角度から見ると前に行くことを躊躇し足を出せないようにも見える。その姿勢の状態で悩み苦しんでいるアスリートたちに少しだけ前に足を踏み込まないか?一緒に前に踏み出そうと背中を押してくれるそんな言葉にも聞こえた。そして常に前向きな星野氏の姿勢に惚れ、信頼を寄せているからこそ着いていきたい、リーダーと同じフィールドに立ちその先を共に見たいと思うのではないだろうか。話を聞いた後に何度「前のめり」と心の中で呟いたかわからない。とても印象に残る前のめりな新しいリーダーの今後が楽しみであり、アスリートたちが更に活躍する場が広がり輝くことを期待したい。