GUEST INFORMATION

久田 康弘

株式会社ELEMENTS 代表取締役CEO

https://elementsinc.jp/

1985年生まれ沖縄県出身。 慶應義塾大学法学部卒業後、2008年に大和証券SMBC株式会社(現・大和証券株式会社)に入社し、ITベンチャー企業のIPOコンサルを担当。 金融犯罪が起こるのは究極的にはお金と自分が紐づいていないからという学生時代の気づきがきっかけとなり、「自分自身を自分だと証明するのに、自分だけでは出来ない」という、当たり前のように思えて出来ないことを解決すべく、2013年12月に株式会社Liquid(現・株式会社ELEMENTS)を創業し、生体認証事業を開始。 現在は「自分だけの要素を知ることで、より自分らしい生き方を選択できる世界に」をビジョンに掲げ、個人認証と、個人の特徴を解析して衣食住におけるモノ・サービスを個人に最適化するソリューションを展開している。

1:オンラインショッピングとテーラーメイドファッションの市場動向

現在、日本では洋服が29億着作られ15億着捨てられているという大量生産され大量消費されている悪循環も度々問題視されている。実際に店頭に出向き洋服を探した際に自分の好みに合いサイズがぴったりの服が見つけられない経験をした人も多いだろう。その結果、インターネットの発達やオンライン利用の増加に伴い、自分のデータを入力して個人に最適化された商品やサービスを求める需要が高まっている。自分のサイズや好みの服が手に入るシステムがベーシックになれば何よりも破棄という無駄が大幅に減少する。ここ数年でSDGesへの関心も高まっている事も相まり今後更にパーソナライズやテーラーメイドのファッション市場は拡大していくと予想されている。

そしてその自分の情報を入れることに対しての懸念が緩和された大きな要因はChatGPTだと話す。ChatGPTの登場により、企業が独自の日本語モデルやチャットボットを構築する動きが活発化し、「みんなが体験して理解してくれているので僕たちもすごく説明しやすくなったのでChatGPTが一掃してくれたと感じている」と久田氏も話す様に提案の説明容易性が向上するほどにその影響力は大きく、AIが一般的な知識としてやっと社会が追いついてきたと実感しているそうだ。

2:医療分野での大規模データ活用

現在は、健康診断記録から電子カルテの記録に及ぶ医療データの収集に力を入れている。結果としての記録だけではなく今後の傾向も見えてくるという。例えば、日常的に同じ薬を飲んでいる人はこの薬を飲んで改善されたと思うと切り替える事は勇気がいる。自分自身での判断が難しいため、医師への判断に頼るが医師も症例が少ない=判断材料が少ないと再検査など時間を要してしまう。病気に対して時間のロスは死活問題である。多方面のデータを大規模レベルで収集し共有することができれば病気の早期発見や治療法の最適化に役立ち医療に対してもより貢献ができる。現に毎年欠かさずに健康診断を受けている人も多いと思うがその記録はどう活用されているのか曖昧な部分もある。後に活用できる術が明確になれば癌や完治が難しいとされる病気などの早期発見や治療法の発見に繋がり様々な病気から回避できる確率も上がるはずだ。

この取り組みは数年後の医療機関全体をより良いものとしは今よりも大幅な進化が期待できる。

3:未来の展望

久田氏が代表を務める株式会社ELEMENTSのキャッチコピーに掲げている「自分自身が世界の要素となる方程式を創り続ける」にもあるように正解のない問題に挑み続け、例え解けないかもしれないが挑むことに意義があると話す。2022年12月に株式公開により株主数が大幅に増加したが株価は気にせず目の前の業務を着実に達成し5年10年の長期的成長を重視する姿勢を大切にしている。この思いは社内でも共有し株価を気にしすぎて自制しないようにと社員へのモチベーション管理にも配慮している。