GUEST INFORMATION
築山 英治
株式会社Sapeet 代表取締役
株式会社Sapeet 代表取締役
https://sapeet.com/
<ゲストプロフィール>
東京大学在学中に体育会アメフト部に所属し、体型の変化(60㎏→100㎏)から服に困ったことをきっかけに大学院にてクラウド着装シミュレーション(3Dネット試着)の研究に従事。その後、株式会社Sapeetを立ち上げる。
3DCG/機械学習技術を用いたカラダの解析サービス(体型推定、姿勢分析、etc)に注力し、自社プロダクト【シセイカルテ】を
リリース。
1:パーソナル診断
Sapeet社の事業の中でAIを活用した体型分析とコミュニケーション分析のシステムを展開し、全国3000店舗以上の整体院や100ヶ所以上のアパレル店舗で導入され、私たちの生活に最も近いサービスの実績を紹介してもらった。前編でも紹介した顔のパーツの配置を7分類に分けたフェイスタイプ診断、骨格を3パターンに分ける骨格診断、肌の色を4分類したパーソナルカラー診断、これらの診断に基づき自分に似合った洋服を自動で弾き出してくれる。自分の体ではあるが鏡を見る以外に自分を客観的に見ることは難しい故、似合う、似合わないの基準は第三者からの評価で大きく左右される。「着たい服を着る、人からの評価は関係ない」と言う人も褒められれば嬉しいはずで、つい褒められた服に手が伸びるのは当たり前のことである。この診断はパーソナル、つまりはその人の生まれ持った性質そのものであるので1度受けた診断結果は変わることなく自分の「タイプ」が分かると言うことになる。ネットショッピングをするにも情報過多の現代では選ぶだけで疲れてしまう、めんどくさくなって諦めた、結局同じようなものでいいかと半ば諦めといった経験をしてきた人もこの診断をすることで色、形、素材の選択肢は狭めることができストレスも軽減されるので1度、体験してみて欲しいと思った。
2:サピートの由来
築山氏は東大アメフト部在籍中に体型変化の悩みを抱え、仮想試着システムの開発を決意し大学院で3Dアバターを用いた服の試着シミュレーション技術を研究したことから現在のサービスを提供するSapeet社を設立したが社名の「サピート」は、コンゴ民主共和国のファッショニスタ集団「サプール」に由来し、人々のファッションライフをサポートするという思いが込められている。サプールはコンゴ民主共和国がフランスの植民地だった時代1920年代が起源とされパリの紳士の盛装に身を包んだスタイルが由来で、アンダーグラウンドのサブカルチャーを象徴する存在として注目を集めた。特にハイブランドスーツなどを身に纏い、とびきりのおしゃれをして街を闊歩する人たちのことをそう呼び、戦争の時代に銃を持つより服を着飾った方がいいじゃないかというその心情にも魅了され「人々のファッションライフをサポートしていきたい」と言う思いも社名に込められている。AIの今後についても聞かせてもらうと精度や技術的な進歩はこれからも向上をし続けると前置きをしつつ「人がAIを使いこなせているのかと言うと、それはまだまだそうじゃない」と続けた。使える場面と使う場面は増えているが今後は人がAIを使うだけではなくAIとのコラボによって人がAIとのやりとりに慣れAIから気づき得られて人がより賢くなり進化し「人とAIとの寄り添い」が増えると考え、AI技術の進化とともに、人とAIのより良い関係性構築を目指していると話してくれた。例えば、メンタルケアの場面ではAIを通じて頭の中の考えや伝えたいことを分かり易くすることでスタッフとお客さんの間に相互理解が生まれ、頭の中の情報がより近くなり寄り添い合える、頭の中で考えていることを言葉にするのは非常に難しいがAIを通すことで明確にしてくれるのだからコミュニケーションツールとしての役割としては最適である。
3:AIの今後と展望
最後に今後の展望について尋ねると、体分析とコミュニケーション分析の両方を増やしていきたいと答えてくれた。体分析については顔を分析してその人の健康状態を専門家と一緒に分析をし、メンタル面や健康面の双方が汲み取れるようになれば心と体の両方のケアが可能になるのではと考えているそうだ。コミュニケーションの分野ではAIアバターを活用し、上司と部下がお互いの胸の内を吐露し合う仕組みを構築したり、採用面でもアバターを一次面接で使用したり練習の相手としての活用なども視野に入れていると続けてくれた。人は気分やその場によって言うことを変えたり聞くべきこうも気を忘れてしまったり興味のあることがあるとそちらに引っ張られてしまうことが生じる。それが人であり感情でもあるのだが、冷静に比較し良し悪しを判断できるAIに託しサポート側に入ることで公平に評価もでき、効率的であり精度も上がるのは確かである。Sapeet社の展望として。行動指針の1つでもある「いいやつであれ」は、結局は素直でいい奴が活躍をする、それはAIを初めとした変化の激しい業界にいる以上素直な気持ちで情報を得て、いいやつとして周りとコミュニケーションを取りながら自分が成長していく環境を作っていく人と一緒に仕事がしたいと話してくれた。
AIはどこか冷たい、人の心がないというイメージを持つ人も少なくないと思うが、築山氏の話を聞けば聞くほどコミュニケーションを好まず人との接触を拒む現代の人間の方がよっぽど冷たく、情報を学習し進化しているAIの方がよっぽど人間らしいのではと、そんな気もしてきてしまうから不思議であった。それはきっと築山氏がAIに全てを任せるのではくAIを介して人と人の繋がりをもっと強固なものに、人と人が寄り添え合えるようにと考えているからではないだろうか。現代ではAIがないと生活が不便になる、しかし人と人が助け合い寄り添わなければこの世は成り立たない、そこは絶対に忘れてはいけないと改めて気付かされる回でもあった。