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青木 俊介

ユカイ工学株式会社 CEO

https://www.ux-xu.com/

ユカイ工学株式会社 CEO 青木 俊介

1978年神奈川県生まれ。 東京大学工学部計数工学科卒業、東華大学信息科学技術学院修了。 東京大学在学中に、チームラボ株式会社を設立し、CTOに就任。 その後、ピクシブ株式会社のCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。

1:大学生時代に立ち上げたチームラボ

中学生でターミネーター2を観てプログラミングに興味を持ち大学は東京大学工学部計数工学科へ進む。中学校も進学校だった事もあり勉強ばかりしていたと自身も振り返るが映画をみて登場人物に憧れ東京大学にまで進めるのは誰でも成し遂げられることではないが、周りの友人もとても才能溢れる方が多かったようだ。と言うのも最新のテクノロジーを活用したシステムやデジタルコンテンツの開発を行い、サイエンス、テクノロジー、デザインアートなどの境界を越えて実験と革新をテーマに日本だけではなく海外でも人気があり世界中で展覧会を開催する「チームラボ」は、大学在籍中にクラスメイトや幼馴染、中学の同級生などが集まってスタートしたそうだが青木氏もその立ち上げメンバーだったのだ。2001年に5人で立ち上げ離れたのは青木氏だけだそうだが、2005年に開催された愛知万博で色々なロボットが大きな企業からも発表されロボットを作るベンチャー企業も出てきたのを見て「やばい、ロボットやらなきゃ」と、誰かにやられる前に自分がやらなければと使命感にも似た思いや感情が湧き上がってきた為、チームラボを離れる決意をする。AIの知識はある程度あったがハードウェアを作ったことがなかった為、中国・上海の東華大学信息科学技術学院へと進み機械学習などについて学ぶ。帰国後2011年にユカイ工学を株式会社に組織変更し最高経営責任者CEOに就任する。

2:呼吸するクッション「fufuly(フフリー)」

今年の9月発売の新商品の抱きかかえて使う呼吸するロボットクッション「fufuly(フフリー)」を紹介してくれた。商品の詳細を簡単にお伝えすると、形状は横幅40cm縦幅50cmほどのクッション型でフウッと息を吐いた時の空気の形をイメージし重さは5kg程あり子供を抱っこして寝かしつける時のあの重みを感じられる。fufuly自体が呼吸をする動きをし自然と抱き抱えている自分もつられてゆっくりと呼吸をする為、文字で伝えるのは難しいのだがリラックスというよりウトウトとしてしまう心地よさを体感できる。前編で紹介した商品以上に科学的に研究された商品で、東京大学大学院新領域創成科学研究科の人間環境情報学分野の呼吸や休憩に関する研究を参考に、休憩時間をより豊かな気持ちで楽しむためのプロダクトである。長時間の前屈み姿勢やコロナ禍のマスク生活など現代人の呼吸はいまだかつてないほど乱れており呼吸の乱れによる身体の不調は年々、問題になっている。そこですべての現代人に簡単に呼吸を深くしてもらいたいという思いで、JT、博報堂、ユカイ工学がプロジェクトチームを発足。姿勢や呼吸の乱れはなんとなく耳にし休憩中にストレッチや散歩、昼寝や瞑想など様々な対策が推奨され実践している人もいるとは思うのだがこのfufulyはただ抱き抱えているだけで良い。更に5分ほどこのクッションを抱き休憩してもらった後に問題を解かせるとそのスピードが上がるといった実験結果が出ており、これにはきちんと名称もあり触れ合っている仲間の呼吸につられる生き物の性質をもとにした、 Deep Breathing Technologyという技術だそうだ。9月には販売になるという事なので声を大にしてお勧めをしたい。

3:今後の展望と夢

パソコンを持っていること自体がオタクと後ろ指を刺され隠していた青木氏の少年時代とは違い今やインターネットで調べればすぐに情報が得られ深掘りもできる。部品も簡単に手に入れられ若い人たちもロボットが作れてしまう時代でありその技術も凄まじいそうだ。ついドラえもんは現実的にあり得るのかを聞いてしまったが、四次元ポケットは流石に無理とは言えドラえもん本体は非現実的ではないあり得る域にまで来ているとワクワクする話もしてくれた。では、青木氏にとっての夢や展望を最後に聞いてみると「ニューヨークにお店を出したい」と答えてくれた。なぜニューヨークなのか?そこにはニューヨークにある任天堂のショップが、初代のファミコンやゲームボーイなど全てが並び親も子供も人種も年齢も関係なく来ている人がみんな楽しそうにしすごく愛されているからだと教えてくれた。お店の中にあるゲームのキャラクターを全員が言葉がなくても認識し楽しそうにしている、しかもそれが日本発の企業でありキャラクターであるから自分もそういう世界中の人たちが楽しくなり喜ぶようなブランドを作れたらと目標にしていると語ってくれた。

青木氏はロボットを家庭に入れることで家族の絆が深まると考えスマートフォンに夢中になり家族とのコミュニケーション、会話、対話が希薄になる現代社会においてロボットが家族の一員として存在することで家族の絆が深まると期待している。勝手なイメージであり個人的意見であるのだがプログラマーや機械技術者は自分の世界に没入し一匹狼のような人を想像していたが青木氏は癒しや人と人との橋渡しのようなそんな優しいロボットを作り出している人であった。正に青木氏の妄想を具現化したような分身のプロダクトたち。のび太君を支えるドラえもんよりもどこかジャムおじさんのような人でもある気がした。兎にも角にも優しく穏やかな異次元の人だ。

これからどんなロボットで我々を楽しませ幸せにしてくれるのか楽しみである。