GUEST INFORMATION

石川 瞬

ハコベル株式会社

https://corp.hacobell.com/

ハコベル株式会社 執行役員 パートナー営業部長 石川 瞬

専門学校卒業後、地元埼玉の運送会社にて、関東地場/中長距離のドライバー・運行管理者・利用運送責任者を経験。 2016年5月にラクスル株式会社に入社。ハコベルでは営業を中心に、営業企画、サプライヤー開拓、採用、新規事業開発など幅広い業務に従事。現在はセイノーホールディングスとの各種プロジェクト推進を担当。

1:人が主役である業界

ラクスル株式会社の中の新規事業部として立ち上げメンバー3人目として入社した石川氏はお客様の課題解決と運送業界を誇らしい業界にしたいという思いでがむしゃらに目の前の問題を解決しながら進み続け現在は執行役員という役職に就き100人規模の会社にまで成長を遂げている。主に中途採用の転職組が大半を占めるそうだが同じ業界以外から参入する人も多くその理由としてインフラにしっかりと価値を提供したい、課題の大きな事業で成長していきたい、14兆市場と言われる大きな産業で貢献したいなど様々な思いを馳せて入社する人の中でも、ハコベル社が掲げる“物流の「次」を発明する”というミッションに共感する人が最も多いそうだ。前編でも少し触れたが2024年問題について尋ねると運送会社が6万2000社あるとは言え、ドライバーの高齢化やドライバー不足が深刻化している中で、荷物は増え続け労働時間がタイトになることは厳しい状況を作り上げているようにも思えるが石川氏は「今も昔も人が主役である業界であることは全く変わらない。それは今後もずっと変わらないと思っている」と答えてくれた。つまりは人ありきの業務内容をいかに効率化させるかが不可欠である。ドローンで荷物を運ぶという事例もある一方で、都市部のタワーマンションに荷物を届けにいく時は自ずとエレベーターを使い届けに行くことが必須となり、運行の指示も人が関わる必要があり全てをAIやデジタルで請け負うことは難しいが、電話や FAXなどのオペレーションをデジタルに移行するなど身近なイノベーションから始めていくことが大事であり人とデジタルのハイブリット化を進めバランスを取ることが肝心だと説明してくれた。

2:義理人情とデジタル化

石川氏自身のキーワードとして物流への業界への恩返しも挙げているが、前職でも自分が辛い時に支えてくれたのは会社の同僚や先輩、上司や社長などで「義理や人情や愛が濃いこの業界が好きなんです」と少し恥ずかしそうに話してくれたがとても大切なことだと思う。いくらデジタル化が進んだとしても、やはり人との関わりや温かみは切り離すことは出来ないのではないだろうか。義理人情が濃いからこそ効率性よりもあの人から仕事の依頼が来たから受けるなどもよくある話で、多重下請け構造のような状況も生み出しているそうだ。その多重下請け構造がなくなり直接引き受ければ間に2社3社入っていた手数料がなくなりコスト削減になることで効率的に運送会社が稼ぐことができ、荷主も安価に依頼することができて両者にとっても良いことずくめのそういった仕組みを展開し貢献したいと、そういう世界を最終的には目指したいと語ってくれたが、荷主が直接、運送会社を見つけることができるハコベルは正に石川氏が目指す世界にとても近いように感じる。自分がアナログでやってきたことをプラットフォーム化しデジタル化していくことも当初からの目標にしているが少しずつ進んできてはいるもののまだまだ電話やFAXが主流の業界だと課題も多い。「Microsoft社のエクセルやGoogle社のスプレッドシートのように皆が使っているものがハコベルに変わったらいいなって思うんです」と究極の話だと冗談まじりに話してくれたがワクワクしている顔は隠せていなかった。そういった新たな仕組み作りにはエンジニアや自身のように物流経験のある人が不可欠でありそういった人が集まってくれたら嬉しいと話す姿はどちらも本音のように聞こえた。

3:走るということ

ハコベル社が掲げるミッションの“物流の「次」を発明する”には勿論、デジタルは不可欠であるが更にデータを活用し次の時代へ繋げ効率化を図っていきたいという思いも込められている。仕組みだけに頼らず人の手も大事にしながらそれぞれの得意分野も活かしつつより良い業界にしていきたいと最後まで業界全体の繁栄を目指している姿が印象的である。では、個人の目標はと尋ねるとウルトラマラソンを完走したいと答えてくれた。元々、陸上競技を学生時代にやっており長距離は得意だそうだがハコベル社に入社してからは15kg程増量をしてしまいダイエットを始めたがまだ目標よりは5kgの減量が必要らしい。フルマラソンの42.195kmではなくウルトラマラソンは100kmであるが40歳までにはチャレンジし完走したいと公言してくれた。ラジオ出演中にドライバーになったきっかけを尋ねたときも車が純粋に好きで、乗るのも見るのもいじるのも全て好きだったからと話してくれたように総じて走ることが好きな人なのだろう。陸上、ドライバーを経て今は夢に向かって走る石川氏は今後も止まることなく、振り向かずに前だけを見て真っ直ぐに、そして実直に仲間と共に走り続けるだろう。

便利な世の中になり忘れかけている人も多いであろうから敢えて最後に文字にし示したいが、希望の日時に荷物が届くことは決して当たり前ではない。ドライバーが安全運転をし大切に慎重に運んでくれているからこそ成り立っていることを忘れてはいけない。流れ作業で受領印やサインをしていないだろうか、何度も身勝手に再配達を依頼していないだろうか。

今一度、感謝の気持ちを思い改めて「配送」という生活に不可欠なサービスを利用して欲しいと願う。