GUEST INFORMATION

石川 瞬

ハコベル株式会社

https://corp.hacobell.com/

ハコベル株式会社 執行役員 パートナー営業部長 石川 瞬

専門学校卒業後、地元埼玉の運送会社にて、関東地場/中長距離のドライバー・運行管理者・利用運送責任者を経験。 2016年5月にラクスル株式会社に入社。ハコベルでは営業を中心に、営業企画、サプライヤー開拓、採用、新規事業開発など幅広い業務に従事。現在はセイノーホールディングスとの各種プロジェクト推進を担当。

第20回目の節目のゲストは、仕事を受けたいドライバーと荷物を運びたいユーザーを最適にマッチングさせ、荷物の配送予約から支払いまでワンストップで行えるネット運送・配送サービス「ハコベル」を2015年12月にスタートしたハコベル株式会社の執行役員石川瞬氏をお迎えし事業内容や経歴、運送業界の今を聞かせていただいた。

1:ハコベル株式会社事業内容

ハコベル株式会社はプラットフォームを通じて荷物の運送を手配するマッチング事業とプラットフォームシステムの販売を行っている。一般的な運送会社との違いは車を保有しているか、していないかの違いで全国の運送会社とお客様を繋ぎ委託先の運送会社に荷物の輸送を依頼するシステムだそうだ。大手の物流事業者に荷物の配送を依頼し、自分の手元にも馴染みのある業者から荷物が届く、それが日常的であり自ら業者を探し依頼するという流れは話を聞いてもイメージがつきにくいのが正直な感想であったがバスに例え分かり易く説明をしてくれた。路線バスはルートが決まっていて行きたいところまでは直接行けないが乗り合いなので安価で乗車ができる、これが我々も良く利用する宅配業者。バスを1台貸し切って行きたいところまで行ける観光バスは1人しか乗らなかったら高額になってしまうが複数人で荷物をたくさん積んで輸送すれば価格を抑えることができるのがハコベルである。荷物を1つ運びたいときに車を1台使い切るということはイメージも付きづらい上にその発想をしたことがなかったが実は貸切業者は中小の運送会社を中心に全国で6万2000社あると言われておりその中でも30名以下30台以下の運送会社が80%を超えるそうである。ハコベル社のクライアントはホテルのメーカーや商社などが多く中でも食品や飲料、日用雑貨など1年を通して季節の変動がある特徴的な商材を扱うことが多いことから、夏は飲料水の需要が増え、冬には意外とアイスの需要が高まるなど季節によって輸送する車種も変わってくる。そこで先ほど話に挙がった中小の運送会社と提携することで荷物の内容に合わせて車を用意ができる点も特性だと話すが、年間のシーズンによる需要や適応性の変動に柔軟に対応できることは非常に大きな強みだ。

2:口コミと評価

利用方法は電話やメールはもちろんのことweb上で積み荷や降ろし荷、車のサイズなどを選択し発注情報を入力すると登録している約1万7000社の運送会社に一斉に案件の通知がいき運送会社が希望の案件を選択し請け負うことができる仕組みを提供している。約1万7000社の登録数に驚いたがその大半が口コミだという背景にさらに驚いた。運送会社同士は意外とコミュニケーションが活発に行われているそうで、物流の現場でトラックが待機をしたり荷物を積む際にどこから来ているのか、どこの荷主からの依頼か、などドライバー同士で話し情報交換をする事も少なくないそうだ。そういった雑談の中でハコベル社はスマートフォンのアプリをダウンロードしアカウントを作るだけで案件の通知がくるシンプルな仕組みの上、運送会社は無料で登録もでき自分が引き受けたい案件だけをとることができる点もドライバーの興味を注ぎ登録者数を伸ばしたそうだ。19回目のゲストを迎えた際に挙がった物流・運送業界で2024年4月1日から働き方改革によってドライバーの労働時間が960時間に制限され1人あたりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると懸念されている「2024年問題」同様に労働時間が限られている中で空いている非稼働時間に自分で案件を選び時間を有効活用できることは大きな利点でもあり、荷物を運んで欲しいユーザーのニーズを結びつけることができwin-winの関係が生まれている。また配送が終わった後に利用者が星5点満点で評価ができ星のレビューの高さや評価の高いドライバーに優先的に案件が回るためドライバーのモチベーションとサービス品質の向上に繋がる仕組みも導入している。この仕組みによって運送会社は優良ドライバーの把握がし易くなり適切に人員配置ができるようにもなった。ドライバーは荷主と直接話す機会があまりなくこういった評価は今まで聞こえてこなかった声が聞こえる嬉しさや高い点数が付くとより良い仕事をしようと活力にも繋がっているそうだ。置き配や宅配ボックスなどは確かに便利ではあるが長時間運転をし荷物を運び届けることはとても重労働であるからこそ、対面で受け取った際には「ありがとうございます」と一言伝える事を決しておざなりにしてはいけないと改めて思った。

3:誇らしい仕事

石川氏も前職はドライバーと配車業務を10年間経験し、物流業界を支えるドライバーの重要性を実感する一方でなりたい職業ランキングで上位に入らないことに疑問を感じもっと誇らしい業界にしたいという思いからITベンチャー企業のハコベル社への転職を決意したそうだ。必要でなくてはならないものが届かないと経済は成り立たない重要な仕事であり誇らしく輝かしい業界にしていくためにはもっと効率化を図るべきではと考えた時にハコベル社を見つけ入社をするが、今まで電話とFAXで戦ってきた人がパソコンを使わないといけない事にまず苦戦をする。電話や対面で全て解決してきたところから言葉プラス文字のコミュニケーション、考えや想いを言語化し文字にするそのギャップを埋めることが大変で「最初の1年は思い出したくないぐらい大変だった」と振り返る。文字でのコミュニケーションは伝え方を間違えると受け手への伝わり方や受け取り方が変わり意図しない方向へと進んでしまうケースもある。慎重になりすぎて硬い印象を与え壁が生じ、端的になりすぎると冷たい印象を与えるなど誰しもが経験のあることだろう。そういったこと経験も踏まえてかもしれないが石川氏は話し方がとても穏やかでとても丁寧に言葉を選びながら話す姿勢は誠実な印象を受けた。少し話が逸れてしまったが、ドライバー時代の忘れられない経験として東日本大震災で支援物資を運んだことを話してくれた。物資を届けるとたくさんの人が駆け寄り大人子供関係なくバケツリレーをしながら協力し合い平等に受け取り被災をし困っている人たちから「命が続きました」と感謝の言葉をもらったときにこの仕事はやはりなくてはならない誇らしい仕事だと実感したそうだ。