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山本寛大

株式会社enstem

https://en-stem.co.jp/

株式会社enstem CEO 山本 寛大

浅草生まれ、シリコンバレー育ち。 父の仕事の都合で、中学から北カリフォルニア・シリコンバレーで過ごす 16歳の時、アメリカのジュニアオリンピックで準優勝できるレベルのチームに在籍(メンバーには現役で活躍しているメジャーリーガーも) インディアンズとロイヤルズからスカウトの経験も
Googleに入社 26歳でGoogleを退社し、AI(人工知能)を開発する企業で働く 転職と同時に27歳で起業。

株式会社enstemが手掛けるNobi for Driver(ノビフォードライバー)は、スマートウォッチを活用したドライバー向け健康管理システムで、身体データの変化から予測をおこない、眠気の兆候や、健康起因の事故リスクを軽減する。 業界全体で健康状態に起因する事故は急増しており、「漫然運転」が要因になっているケースが多く見られ、ドライバー任せの運行改善には限界があるため、別の観点からの事故防止対策をおこなう必要がある。 Nobi for Driverは、スマートフォンとスマートウォッチを利用し、運転前のチェックや、運転中のモニタリング機能を通じてドライバーの安全と健康を守る画期的なシステムだ。開発に至った経緯やどういった人や場所で利用されているのか、今後の展望などを詳しく聞いた。

1:Nobi for Driver(ノビフォードライバー)とは

冒頭でも事業内容を記述したが、運転を仕事にする運送業者、タクシードライバー、バス運転手などを対象にサービスを提供し、眠気の予兆や熱中症など何かしらの健康状態の危険の兆候をデバイスによってアラートで通知をしてくれる他、どういった所を走ると危険か、どういった時間帯や何時間以上走ると危ないかの傾向が分かることで対策にも繋がるサービスも展開している。また、物流・運送業界で2024年4月1日から働き方改革によってドライバーの労働時間が960時間に制限され1人あたりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると懸念されている「2024年問題」だが、管理をしなければいけないが実際にどうすれば良いのかできずにいた企業からも対策ツールとして注目され始めている。使い方もとても分かり易く、ドライバーにアプリをダウンロードしてもらい専用のスマートウォッチを装着するとデータはクラウドで処理され異変があればアラートで通知される。また管理者側にも専用のダッシュボードがありドライバーが今どこを運転しているかの現在の状況の他に、過去の状況も見ることができのドライバーに危険が及ぶとメールやSMSでアラート通知が行き全て一括で管理ができる。運転中に煩わしい操作もなく運転前にボタンを押すだけで完了するシンプルな点も高齢化が進む中で安心かつ安全面も考慮されている。

2:高齢化、事故率を解消する効果

利用者に多いのが事故率の高い方に導入されるケースが多いそうだがそれにはやはり高齢化社会という背景があるが急ブレーキや急発進、急カーブが危ないですよと車から発せられる情報ベースのため高齢者に対しての対策ができていないことが多かったことが要因となっている。またそういった高齢者が働く業界は利益率が低く高額なシステムやサービスにはなかなか手が伸びない現状もあり、estem社はできる限り安価に提供できるように工夫を凝らしている。そういった企業努力のおかげで導入をした会社の事故率が大幅に減少しある企業では、導入した半年後に事故件数が0件になった実績もあるそうだ。これにより保険料の削減や人的被害の防止、企業への信頼性向上などの様々な効果や、ドライバー個人パフォーマンスも向上する傾向にあり体重減少などの健康面の改善も見られるなど多方面で効果を発揮している。estem社が提供するサービスによって、勤務開始から勤務終了までの時間と移動距離、ドライバーがどういった状態で運転をしているかのデータが取れ労務管理の観点からも実際に安全運転をしているかも明確となる点も興味を持たれる1つの要因になっている。全国にサービスを展開し東京と大阪が導入数が多いそうだが、交通量の多い都心が事故率が高いわけではない。北海道が事故による死亡率が一番高くそれも真っ直ぐな道が長く続くと知らず知らずの内にスピードが出てしまい事故に繋がるなど地方になればなる程、運転時間も長くなる現状から地方企業への導入にも力を入れている。

現在は企業のドライバー向けではあるが、家族旅行で長距離運転をする時や、高齢で免許返納をしなくてはいけないが土地柄どうしても運転をしないと生活ができない地域もある、そういった一般の人たち向けの販売への必要性も感じている。個人的な意見で恐縮ではあるが運転をせざるを得ない人たちに向けて是非、販売をして欲しいと強く思った。

3:パフォーマンス寿命

「パフォーマンス寿命」は山本氏が作った素敵な言葉である。どれだけ健康に長く生きられるかの健康寿命を超えて、社会貢献や自分が好きに生きられる幸せな時間をパフォーマンス寿命と名付けた。とても面白い発想であるがその裏には高齢化社会が進む中で必然的に車の速度や歩く速度が遅くなることは避けられないがそうなると経済スピードも落ち停滞し経済合理性で言うとよくない傾向になるが健康的でパフォーマンスが高くなれば色々な弊害も打破できるのではないかと考えているそうだ。単に長生きするだけではなく活動的で社会に役立つ生き方を提案する山本氏の考え、そこにパフォーマンス力を求めるとは非常にアグレッシブな理論である。食べ物や環境など長生きすることが必須となる現代ではプレーヤーとして生き続けることは避けて通れないことなのかもしれない。老後はのんびり隠居生活などと言ってる場合ではないなと気が引きしまる思いでもあった。