GUEST INFORMATION

岡本ビクトル

株式会社V&K 代表取締役CEO

https://www.vandk.jp/

1982年 東京都生まれ 老舗スペイン料理店で東京・青山にある『エル・カステリャーノ(EL Castellano)』のオーナースペイン人である 父ビセンテ・ガルシア氏のもとで、約7年間同店に勤務。 2012年に日本初のお米料理専門店「アロセリア・サル イ アモール」を オープン。 2017年からは青山にあるワインスクール 「アカデミー・デュ・ヴァン」で講師を務める。 代表のビクトル ガルシア氏 はスペイン人の父と日本人の母をもつ日本育ち。 幼少期から父の故郷であるスペインを訪れ、さらに2年間の語学留学で本場の食文化をも学んでいる。 学生時代から父が経営する青山の老舗スペイン料理店「エル・カステリャーノ」で7年、サービスやマネジメント業 務に従事。 その後「父の店とは違った形で自身の理想とするスペイン料理店を作りたいと」2012年、スペインで料理修業を経て 帰国した旧知のシェフとともに、代官山にスペインの米料理専門店「アロセリア サル イ アモール」をオープンし た。 当時、パエリアを中心にしたメニュー構成を実践しているスペイン料理店は他になく、お米好きの日本人にはきっと 受け入れられるはずと、『パエリアならこの店』と言われるような店を目指す。 本格的な味や雰囲気から常連客が付き、坪月商最高額47万を売り上げるほどの繁盛店に成長。 スペイン人客も「故郷の味を安心して楽しめる」と通う。 2017年には「自分たちの手で代官山店のライバル店を作ろう」と、銀座に2店舗目となる「ラ パンサ」をオープン。 スペインの田舎にあるような店をイメージした代官山店の雰囲気とは少し変え、銀座店はスタイリッシュな空間でス ペイン料理を楽しめるように。 ディナーのみ営業にも関わらず、こちらも坪月商最高額44万を記録する人気店に。 V&K系列店で共通するのは「日本でスペインを感じられる店作り」。 そのコンセプトを大切に、よりカジュアルでリーズナブルな店を作ろうと始めたのが、2019年にオープンしたバル業 態の中目黒「バル・ポルティージョ・デ・サル イ アモール」と、丸の内テラスの4店舗目「バル・ポルティージ ョ・デ・エスパーニャ」。 店作りには「高級感が出すぎてしまわないよう、できるだけ引き算の店作りを心掛けました」 企業としては「数年前より温めてきたEC企画にも着手していきたい」 日本で2021年に初めて導入された「スペインレストラン認定プログラム“Restaurants from Spain”」において正式認定。

1:コロナ禍で見えた原点回帰

お米専門店のスペイン料理店として2012年に1号店の代官山「アロセリア・サル・イ・アモール」2号店を2017年に銀座「アロセリア・ラ・パンサ」をオープンした両店は平均客単価が9千~1万円と高級店ではないが決して日常的に訪れる価格帯では無いため、記念日や誕生日など特別な日にし利用する人も多いという。光栄で嬉しいと思う反面、もっと気軽にたくさんの人にスペイン料理を知ってもらいたいという気持ちからカジュアルに楽しんでもらえるお店を、2019年に中目黒「Bar Portillo(バル ポルティージョ)」、2020年丸の内に「Bar Portillo de España(バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ)」をオープンさせる。共にPortillo=小さな扉という意味からスペインの入り口として楽しんでもらいたいという思いが込められている。しかし、丸の内店がオープンした2020年はコロナ禍真っ只中で「壮大な詐欺に遭ったような気持ちだった」と振り返るように1~2年前から準備をし、契約も済んでいる中での

緊急事態態宣言の発令。営業もできずゴーストタウン状態にありながら相当な額の工事費請求の電話がかかってくる。収益はゼロの状態で支出ばかりが増え、気持ちを保つのには容易ではなかっただろう。新事業の立ち上げ、別業態に切り替える周りの経営者も多くいたが、「何も浮かばないし革新的な何かを作りだすことは自分にはできない。だったらもう悪あがきはせずにゼロに戻って飲食店に向き合おうと決めた」初心に戻りしっかりと飲食業に向かい合い本質に立ち返る、そうすると何が大事で何が自分たちの哲学が見えてきた。

それが今の13ヶ条の行動指針に繋がる。その意味とは。

2:13ヶ条の行動指針

郷土料理に対する温故知新の精神を持つ!
“楽しかった” と言われるお店に!
活気のあるお店作りをする!
料理屋としてのプライドを持つ!
密度の濃い接客、気の利く接客を心がける!
非現実、疑似体験(海外旅行)を楽しめるお店に!
お客様に直接伝わるアプローチを大切に!
常に緊張感を持つ!
何事にも当事者意識を持つ!
現状に満足しない、毎日0.01%でも成長を続ける!
お客様が人を連れてきたくなるお店に! 
色々なシチュエーションで使って頂けるお店に!

13ヶ条全てもちろん大事にしているが2番目の楽しかったと思っていただけることは特に大切しているそうだ。帰り際や翌日、少し時間が経った時にふと「あの日、楽しかったな」と思い出す経験をしたことがあるだろう。美味しい料理やワインとの出会い、素晴らしいサービス、一緒に行った大切な人との時間、たくさんの理由があり十人十色の思いがあるが全ては楽しいと思ってもらえる空間やお店でなけば記憶に残らない。逆に何か1つでも嫌だなと思ってしまえば、よっぽどそれを上回るプラスの要素があれば別だが、もう一度またそのお店に行こうとはなりにくいだろう。だからこそ自分たちがピエロになるのではなくお客様の楽しい時間を邪魔をせず流れや時間を自然かつ円滑に進め、思い出作りのお手伝いをしていると話していた。そして楽しければまた人が人を呼びお店が活気付きスタッフのモチベーションもあがる。相乗効果抜群である。

経営者としてここまでお客様やスタッフに対しての気配りはなかなか実行できることではない。元々サービス担当のガルシア氏ならではの配慮であり、何よりも説得力がある。

そして13箇条の中に美味しいなどの味に関する記述がに1つもないのは当たり前のことだからと料理に対しての絶対の自信の表れでもある。

3:ロマンと情熱

今後の野望を聞くと、まだ明確な国は決めていないが海外進出も視野に入れていると話す。4店舗展開しどのお店も順調かと思われるがガルシア氏は現状に満足せずに挑戦し続けないと停滞してしまうと常に先を見ている。失敗を恐れるのでなく常にハングリー精神を持ち自分を奮い立たせるために生半可なことではなく「最終ロマンはスペイン出店。無茶苦茶なことをしないとモチベーション上がらないからね笑」と、どこまでも情熱的な思考の持ち主である反面、店舗拡大ではなくそれぞれのお店を大事に育てたいと彼の優しさも覗かせる。先週も話にあがったがやはり飲食業界は簡単ではない。むしろ体力的にハードで、複数人が携わる故の人間関係、売上などの経営面など非常に厳しい世界だ。何が最も大事かを聞くと「ロマン」それしかないと断言していた。ロマンと情熱がなければ続かない、両方どちらかが無いなら参入するべきではないと続けた。なぜならクライアントが数社いて始めますという業種ではなく、いつ誰がくるかわからない中でお客様を待ち続ける途方もない時間をも楽しめる覚悟と強さがあるのかと陽気で明るいガルシア氏ですら少し語気が強くなる。それほどにハードであり、自身もコロナ禍で何度も心が折れたがロマンと情熱の灯火が消えなかったからこそ続けられたんだと力強く話してくれた。
メンタルもボロボロなる程に悔しい思いを幾度となく経験し、1人で経営するドン底の経験も経たからこそ覚悟を持ってこい、でも一緒に盛り上げていこうぜと厳しくもあり人一倍仲間を大切に思う熱い人なんだと感じた。
現にロマンと情熱を持って仕事に携わっている人はどれほどいるだろうか。
お金のため、生活のため、家族のため、なんとなく日々をやり過ごしている人も少なく無いと思う。綺麗事だけではなく現実はとてもシビアだ。辛いことも悲しいことも突如訪れる。

そんな時はガルシア氏のお店に行ってみてほしい。優しく出迎えてくれるスタッフ、心のこもった美味しい料理、そして愛に溢れる空間。きっと帰る頃には来る時よりも幸せな気持ちになり
「またここに帰ってこよう」そう思わせてくれる情熱とロマンに包まれ前向きな気持ちになる、それがガルシア氏のお店でだと私は思う。