GUEST INFORMATION

西田 美歩

介護タレント

介護タレント
https://www.instagram.com/kaigoshi_nishida//

「ミスマガジン2003」を受賞しデビュー。めざましテレビリポーターやおもいっきりPON!のお天気お姉さんを務め様々なタレント活動を経験。介護のイメージを明るくしたい思いから、 【介護士×タレント=介護タレント】という新たなジャンルを自ら立ち上げ活動。2024年に介護福祉士の国家資格を取得。YouTube「介護士★西田岩佐」では、孤立や不安の中にいる方へ情報を届けたい。介護予防をすることの大切さを知って欲しい。など日々デイサービスで介護士として働き自身が感じた様々な介護の魅力や情報を介護士、岩佐真悠子と共に発信している。

1:多様化するサービス

もし、自分の親が介護が必要となり施設への入所、デイサービスなどの利用を勧めた時にどういった反応が返ってくるか。「私にはまだ必要ない」という反応がまず1番に浮かぶのではないだろうか。頭ではいつまでも体力も記憶力も昔の自分のままであるから本人に自覚がない老いとはとても厄介である。足元がおぼつかないから気を付けてね、忘れっぽくなってるよと親に説明をしたところで余計にヘソを曲げムキになり話を聞くことすらしなくなり子供もまぁいいかと先延ばしにしてしまう。介護と聞いて拒否反応を見せるのは本人も家族も同様なのかもしれない。そこで西田氏はさまざまなデイサービスを紹介してくれた。例えば今まで絵を描くことが好きだったら絵を描くサービスを実施している所や、最近とくに女性に人気なのは美容に特化したサービスでエステをしたりお化粧をしたりといったサービスで通えば通うほどに美しくなる所や、スナックのようにお酒を飲みながらカラオケをしたり麻雀やパチンコができる所もある。施設の中だけではなく、あの喫茶店にみんなで行きましょうと行ってみたり、お寿司を食べに行ったりお出かけを楽しむサービスや畑を耕し収穫したお野菜で料理をし皆で食べるなどのサービスもあるそうだ。こんなにたくさんの楽しいサービスがあることを知らず、もはやサービスではなくコミュニティが確立され多様化している事に驚いた。歳を重ねれば重ねるほどに友人に連絡をして日時と場所の約束をし出かけたり、共通の趣味を楽しむことはきっと難しくなる。しかしこのサービスを利用すれば介護士が送迎をしてくれてその場所へ行けば趣味を通じてお友達に会え、さらに新たな出会いやお友達も増え毎日が楽しく張り合いができるように思う。サービスを受ける際には一人一人にケアマネージャーというタレントでいうマネージャーのような役割を担ってくれる人がついてくれるそうで心身ともに細やかなケアを受けられるのはとても安心感がある。大切な家族を預け、人をお預かりする双方の不安要素を減らすことのできるこの制度はとても良いと思った。こんなに楽しく安全なサービスなのに懸念されるのはやはり「介護」というネガティブに捉えられてしまう言葉が原因なのではと感じずにはいられない。いつかもっと親しみやすくワクワクするような親が行きたいと思えるような言葉ができたらいいなと思った。

2:国家資格

介護士として仕事を極めるために西田氏は2024年に国家資格である介護福祉士の資格を取得。この資格は3年以上の実務経験及び「実務者研修」を終了して初めて介護福祉士国家試験を受験することができる。実務以外にも筆記試験もあるのだが実務を経験していないと受験ができない為、誰でもすぐに取れる資格ではなく長い年月が必要となる。「最終学歴が中学校卒業の私でも取れる国家試験が介護福祉士なんですよ」と明るく笑いながら話してくれたが働きながら学校には通わずYouTubeを見ながら独学で勉強をし取得した資格は努力の賜物である。なぜ資格が必要のない中で取ろうと思ったのかを聞くと、利用者さんを介助する日々の中で、たとえば横に歩いてサポートする時に自分はどう歩けば相手が気持ちよく歩けるのか、耳が聞こえにくい人にはどうやって声がけをしたらいいのだろうかと、相手の最善策をもっと知りたい勉強したいと思ったそうだ。相手に寄り添い心の声を聞こうとするその姿勢は素晴らしいと感銘を受けた。資格をとった後は、ケアに根拠が持てるようになり自分は資格を持っている人だと相手に認識されることでより責任感が増したと話す。今年は更に認知症ケア専門士という資格を取るために勉強中だそうだ。対応の仕方を変えるだけで帰りたいという気持ちを和らげ声がけの仕方次第で不安な気持ちを和らげることができると未だ勉強の段階だがとても楽しいと生き生きとした表情を見せてくれた。

3:約束

6年間介護士として働いていると利用者さんと家族のような信頼関係が生まれるが始めた当初はそんな余裕もなく毎日悪戦苦闘していたそうだ。まずはコミュニケーションをとってくださいと指導を受けるがどうやってコミュニケーションをとったらいいか分からない、もしかしたら言ってはいけないことがあるかもしれないと不安に感じている中で物腰の優しい90歳を過ぎたおじいさんに出会う。耳が遠く返事はいつも「うんうん」と曖昧だったがめげずに一生懸命、話しかけ続けると「いつも話しかけてくれてありがとう」と言われちゃんと伝わってるんだと嬉しくなったそうだ。そのおじいさんはお花が好きで自宅の庭にはいつも四季折々の色々なお花が咲いていて送迎の際にはあのお花が咲きましたねとたわいのない会話を年々も続けていたが、ある日そのおじいさんが入院をする事になり最後の送迎の時に「このお花、一緒に絶対見ようねと」約束をするが、そのおじいさんは帰ってくることはなく無情にもその約束は叶わなかった。その後に、お家の前を通った時に約束をしたそのお花が咲いているのを見て、悲しく涙がこぼれたが生きているということの大切さや人の大切さを学んだと振り返った。楽しいことも多いが悲しいことも同じようにある。特に高齢の方と接する介護士はその経験が人よりも多い。だからこそ笑顔にしたい、最期の日まで楽しく過ごしてほしいと明るく接しているのだと思った。

今回は介護について貴重な話が聞けた回であった。親はいつまでも元気なイメージのままだが自分が歳を取る分だけ一緒にいる時間が必然的に短くなる。愛する家族がもし、今までの当たり前が急に当たり前でなくなり、会話、意思疎通、触れ合いが難しくなったその時に、葛藤、苛立ち、悲しみ、虚無を感じるであろう自分はどこまで何が出来るだろうか。逃げずに優しく向き合い続けられるだろうか。きっと介護士という存在が支えになり心強い存在になってくれるはずだ。他人事ではなく自分事として受け止め今の内から親、家族と話し合う機会を設けようと思った。西田氏の今後の展望として釣りをしながら自分で釣った魚を捌いてビールを飲むことができるようなデイサービスに通いたいと話していたがきっとこの人は自ら作ってしまうだろうなと思った。介護してくれる人や周りにいる利用者を笑顔にさせて笑い声の絶えない明るい場所をきっと作るだろう。そこには誰よりも世話焼きを発揮し誰よりも元気な姿でいることだろう。