GUEST INFORMATION

一瀬 健作

株式会社ペッパーフードサービス

株式会社ペッパーフードサービス 代表取締役
https://www.pepper-fs.co.jp/

1981年生まれ。大学卒業後、大手外食企業で経験を積み、2013年にペッパーフードサービス入社。創業者である父・一瀬邦夫氏のもとで実務を学び、2022年に代表取締役社長に就任。いきなり!ステーキ事業の再建や新業態開発に取り組み、変化する外食市場での持続可能な成長を目指している。

1:今も活きている様々な経験

一瀬氏は静岡地盤でハンバーグ店を展開するさわやか株式会社での修行を開始、1999年ペッパーフードサービスに入社し浅草店での店長経験を経てペッパーランチ運営部長やCFO、副社長などを歴任し、2022年8月から社長に就任した。幼少期は1階が店舗、3階と4階が自宅という家庭環境もありから両親がお店に立ち働いている姿を見て育ってきたことからいつか家業を継ぐんだろうなと子ども心に漠然と思っていたそうだ。「子供の頃に父を喜ばせるためにコックになると言っていた」と話す通りに静岡のさわやかでの修行当時にはお客様の目の前で提供するハンバーグをナイフで半分に切り仕上げるところも担当していたそうでこの経験は今も非常に活きていると話していた。その後、家業のペッパーフードサービスのペッパーランチ浅草店に配属になるのだが、社長の息子が来たと噂になっていた環境でどう思われるのだろうと不安もあったが、社長の息子だから偉そうにすることは一切せず、さわやかで学んだ仕事に真摯に取り組む姿勢を忘れずに、知らないことに対して知ったかぶりをするのではなく謙虚に教わる姿勢を貫き、仕込みから調理提供、ホールサービスを朝から晩までこなしていたそうだ。当時、一緒に働いていた学生だった方が一瀬氏と仕事をした思い出が忘れられないと現在、会社の社員として入社してくれていると胸が熱くなるようなエピソードを教えてくれた。一瀬氏の幼少期は牛肉は和牛がメインで高価だっため、家業が洋食のレストランとは言え頻繁に食べた思い出はなくエビフライやハンバーグなど普通の小学生が好むものが好きで、夕食は祖母が作ってくれた味が家庭の味として記憶に残っているそうだ。また、定休日の月曜日は家族で外食に行くことが多く、会計が終わった後に父から今日の会計はいくらだったか聞かれることが時に嫌だなと思うこともあったが高く言った方が良いのか安くいった方が良いのかと親の顔色を伺いながらゲーム感覚で答えていたそうだが、経営者目線でありコックとしての目線でもあり、これはこういう作り方なんだよと子供の頃から話を聞き学べたことは今に活きていると幼少期の思い出と共に話してくれた。

2:苦渋の決断

2022年8月に二代目の社長として就任をするのだがその背景として、事業縮小に対しての取引先関係者への信頼回復にために今の経営方針を変えなければいけないと今後の経営についてCFOという財務を担当する立場を通して会社の資金繰り、返済計画等々を実行していくためにはお店の運営はもちろん、会社を継続していくには先代に引退していただき自分が舵取りをし事業の立て直しをよりスピーディーに進めていきたいと提案をしたその数日後に父親本人から辞任の意向を聞いたそうだ。創業者でもあり自身の父親でもあり1番言いやすいようで言いにくい立場で子供の頃から両親が営んできたお店、その後の会社を大きくしてきたことも見てきた中で何て親不孝なことを言うんだろうと自分自身でも葛藤はあった、しかし上場企業であり株主の方もいる、たくさんの従業員を守るには今優先すべき事項を計画通りに遂行することこそが使命だと勇気を振り絞り話したそうだ。一瀬氏が二代目に就任してから今年で3年が経つがマーケティングに重きを置き今、世間がどういったものを求めているか、飲食店での作りたいブランド業態や売りたいものから入っていく場合はそれが1番効率よくお客様に認知される方法、それは出店地やマーケティング宣伝方法等もしっかりとタイムスケジュールに乗って設計図を書き上げるところから事業計画を綿密に取るタイプだと自身を分析していた。

3:すきやき

新たなチャレンジとして2024年の12月に地震が社長就任後初の新業態のすき焼き専門店「すきはな」を新橋にオープンさせた。一ノ瀬氏が焼肉屋でザブトンという牛肉の肩ロースのあばら骨側に位置する部位を炙りで乱費につけて食べたところ感動するほどの美味しさでこれを単品で打ち出したら面白いよなと思いどういったスタイルで食べてもらうのが最適だろうと考えた時に関西風のすき焼きが閃いたそうだ。牛脂をいっぱい引きそこにザラメなどの砂糖、割下を作り和牛をさっと潜らせ「まず1枚お召し上がりください」と提供されるこの一口目の美味しさったらないなと思いすき焼きのお店にしようと決意をする。野菜などで薄まった卵で食べていくのではなく一口目のイメージそのままで帰ってもらいたいと敢えて野菜は出さずに割下で良い風味がついた卵を卵かけご飯として召し上がっていただく。野菜を省きお肉と卵だけの贅沢さはとても大胆であるが「2膳のご飯を美味しく召し上がっていただく」というコンセプトは一気に気持ちを鷲掴みにされるインパクトがあり食欲を駆り立てる。割下の味が染みこんだ野菜や豆腐はもちろん美味しく魅力的だがお肉と卵とご飯だけのすき焼きに勝るものはないと思う。今すぐにでも行きたい気持ちであり今夜はすき焼きにしようと思ったのは言わずもがなである。いきなり!ステーキの店内には先代の社長であり一瀬氏の父親の写真が飾ってある。その写真を見るたびにしっかりとこのお店を守り運営していくんだという思いに駆られ「身の引きしまる思いが1番」と話していたが全盛期には500店舗もあり事業を縮小した事実もしっかりと受け止め今後の経営の中でもどうしていくかを慎重かつ大胆に考えなければいけないと思うと語る姿は二代目だからこその苦悩や存続していくという重圧に怯むことなく父親を超えるいう決意をも感じた。今年の1月には5年ぶりに「いきなり!ステーキ」の新店を福岡に出店し、今後は閉店させたお店を再度オープンさせるなど以前の勢いを取り戻すべく奮闘をしながら、クオリティを上げるために色々な国から部位を集め新メニューの開発も行うなど意欲も見せてくれた。肉を美味しく食べてもらうという飽くなく追求と一瀬氏の肉への愛を感じた。1番好きな食べ物はしゃぶしゃぶだと話していたので、いつの日か新しいしゃぶしゃぶに出会わせてくれるかもしれないと期待して待っていたいと思う。