GUEST INFORMATION

築山 英治

株式会社Sapeet 代表取締役

株式会社Sapeet 代表取締役
https://sapeet.com/

<ゲストプロフィール>
東京大学在学中に体育会アメフト部に所属し、体型の変化(60㎏→100㎏)から服に困ったことをきっかけに大学院にてクラウド着装シミュレーション(3Dネット試着)の研究に従事。その後、株式会社Sapeetを立ち上げる。 3DCG/機械学習技術を用いたカラダの解析サービス(体型推定、姿勢分析、etc)に注力し、自社プロダクト【シセイカルテ】を リリース。

「ひとを科学し、寄り添いをつくる」というミッションを基に、AI身体分析を活かした接客DXソリューションを展開する株式会社Sapeetの代表取締役の築山 英治氏をお迎えし人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化し、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発する事業内容や築山氏の考えるAIとは?について聞かせてもらった。

1:体のAI診断

AIというワードがいつの日からか身近になり知らず知らずに分析され1度ネット検索しただけでSNS上でおすすめに出てきたりと驚き少しの不安を経験をした人も多いのではないだろうか。こういった予期せぬ経験ではなく敢えて自らAI技術を使って自分を分析するSapeet社の事業とはどういったことをしているのか非常に興味が湧き色々と話を聞かせてもらった。まずは人の体の写真を撮りそこから体を分析するアルゴリズムは、体型の測定、姿勢の分析、顔の形状やパーツの位置、肌の色を分析しお客様の特徴を基にその人にあった商品やサービスをレコメンドする技術を提供している。体の写真を撮り右肩が下がっている、猫背気味である、O脚やX脚など診断し、そこからカルティクラウドというシステムを提供し整体やパーソナルジムなどで活用しているとのこと。この姿勢分析サービスを使い「効果の見える化」をすることによってお客様にサービスを実感してもらえる様になったという。また、まだまだ姿勢を直そうとする人が少ない中で姿勢って大事なんだと、このままの姿勢だと未来はこういう姿勢になってしまいますよと気付いてもらい改善しようと思ってもらえるきっかけ作りになればと話してくれた。そして顔のパーツ位置や形状から人の顔を7分類し可愛い系や綺麗系などに分類するフェイスタイプ診断、肌の色をイエベ・ブルベと言われる4分類に分けて診断するパーソナルカラー診断と掛け合わせその人にあったファッションやメイクをレコメンドするサービスの提供も行っている。女性は特にこの診断を利用しメイクやファッションを選ぶときの選択肢の1つとして自分がどのタイプかを認識している人も多いと思うが、さらに声や会話についての診断があると興味深い件を教えてくれた。

2:コミュニケーションアルゴリズム

昨今、会議などの議事録を音声録音を基に文字起こしや要約などをしてくれる機能を利用している企業も多くなっていると思うが、実際に私もこのラジオを記事にする際に利用し、とても助かっている。長時間の会話をものの数秒で文字に起こし要約もしてくれるなど一昔前では考えられないことである。この機能のもう一段階高いサービスが接客業や営業の方達が練習のためにAIロープレで、これはロールプレイング通称ロープレをする際に上司やマネージャーと行うのが通常であるがAIのアバターが相手となり、やり取りを分析し自動的に評価をフィードバックしてくれるそうで、チェック項目が10個ほどあり、できていない箇所が明確となり改善方法がわかることで接客力や営業力が上がる画期的なサービスである。ロープレは相手がいないと成立せず時間や労力が伴うがAIを使うことによって相手に対しての「お時間をいただき申し訳ありません」の気持ちを抱えることなく更に文字にして自分の足りない箇所に気付けるのは非常に今時であり現代の働き方に合っているように思う。また項目も細かく設定ができ、気持ちに寄り添えているか、感謝の気持ちを伝えられているか、困っている事に共感できているか、課題のヒアリングができているか、課題に合わせた提案ができているか、その後の最終のフォローアップも含めて一通り項目がありその他、商品に対する知識を追加するなどその時々によってクライアントと一緒に作れる点も魅力的である。接客や商談の際に人によってのばらつきを解消しお客様とのコミュニケーションをDX化、AI化を実現する「ひとを科学し、寄り添いをつくる」クラウドサービス「カルティクラウド」は実際に企業やお店側も達成したいことや継続率を上げたい、購入率を上げたいなどのそれぞれの課題をどのように使えば解消できるかの提案は勿論のこと、体の画像を使ってこういったことはできないか、音声データや議事録のデータを使って何かできないかなどの相談から独自のシステムの生成もしている。たとえば、山形市と一緒に寄り添いチャットポッドというサービスを行っており、孤独孤立に悩まれているシングルマザーの方や独居老人の方向けにLINEの相談窓口を通じて臨床心理士やメンタルケアの専門家監修のもとオペレーターが対応をしていたが対応しきれないことも多く、AIで自動化できないかと相談があり、メンタルケアのノウハウを組み込んだAIのチャットポッドを作り実際に多くの方が利用しているそうだ。AIが人に寄り添い心のケアまでもできるとはにわかに信じがたいが、既に寄り添いの言葉がデータとして世に溢れていてそれらを学習しこういった文言が寄り添いになると判断し答えてくれていると教えてくれた。寄り添う言葉とはなんだろうと考えてみたが私には的確であり正しい言葉が浮かばず見つからなかった・・・AI恐るべしである。

3:研究室と部活の融合

2024年10月に東証グロース市場に上場し1つの目標を達成した。ゴールではなくあくまでも目標の1つだと謙遜していたが、事業成長させるために信頼度と認知度、リソースを調達するための資金調達の手段を獲得する手段として捉えているそうだが、商談の問い合わせが増えたりとすぐに反応が返ってくることに驚き、採用候補者の応募や問い合わせが増えたことも効果の一つとしてみれて良かったと話してくれた。築山氏がAIに出会ったきっかけを問うと大学院在学中に機械学習の講義で、この技術を使うと面白くできそうだなと興味を持ったことの他に、会社を立ち上げるきっかけの1つとしてのエピソードを教えてくれた。元々アメフト部に在籍し入部当初60kgだったのが卒業時には100kgくらいに成長しその時にネットでジャケットを購入したところ届いた服が全然合わず苦い経験をしたそうだ。少しサイズが小さいという次元の話ではなく「腕はギリギリ通せたけどそれ以上行かなくて」と笑っていたが同じアメフト部の仲間も同じような経験をしている人がいた為、どうにか解決できないかと思い大学院で3Dのアバターを使い仮想的に試着ができるツールを研究することを始める。3Dのアバターを作る際に色々なユーザーから身長や体重などのデータを集め、その項目を入力すると自分の体型の寸法を推定するような機械学習のアルゴリズムを組み込んだことが最初のきっかけだそうだ。アメフトをやりながらそういった研究で実際に作りあげるとは頭脳明晰、文武両道だと思い学歴を尋ねると「東京大学です。」とサラリと答えてくれたが、納得である。なぜなら、ネットショッピングで買い物をしサイズが合わなかったら返品や交換をするのが普通であり解決をしようという発想になること自体がやはり違うなと感じた。高校時代から企業に憧れや面白そうだなと漠然と考えていたが何をやりたいかは見つからず、親御さんも医者ということもあり医者になりたかったが高校生の時に先生に医者以外の道を考えるきっかけになることを言われ、そこから会社を作ることに興味が湧いて行ったそうだ。

2016年3月に会社を設立し現在も築山氏が代表を務めるSapeet社には大学院時代の研究室の仲間たちが初期から在籍されているが研究室感と部活感を大事にしているそうだ。真逆のような気もするが行動指針の中の項目を元に説明をしてくれた。「プロチームたれ」は、部活感のある項目で、一人ひとりが強い当事者意識を持ち、プロフェッショナルとして誇りに思える仕事をする、その矜持をもった個々が切磋琢磨し合い、最高のチームが形成されると考え、「いいやつであれ」は、誰に対しても尊敬の念をもち、称賛と感謝を惜しみなく表す。その想いによって、メンバーが気持ちよく仕事でき、高いバリューを発揮する雰囲気をチームが纏えるようになると考えている。研究室感は「Fact Driven=事実駆動」熱い想いを持ちながらも感情に左右されず、冷静にものごとを因数分解して解像度高く理解し、定量・定性の事実とロジックで意思決定する、「Sync=脳内同期」会社・メンバー個々のもつ情報と思考ベクトルを常に共有し合うことで、その時点の最適解で自然とアクションし、組織として効率的に学習できる。また、社会に合わせて的確に会社発信し、社会との良い関係を築くといういかに会社の脳を一つにするか共有をいかに透明高く、かつ高速にするか、同じことを繰り返さないように仕組み化するところは研究室感が出てるのではないかと説明してくれた。総じて全てはチームワークであり、仲間を信頼することが第一であると伝えたいのではないかと思った。

後半ではさらにAI技術を駆使した事業内容や今後の展望などを聞かせてもらおうと思う。