GUEST INFORMATION

明石 圭祐

GO株式会社 IRIS支援室ビジネスグループ マネージャー兼 株式会社IRIS メディア統括責任者

・GO株式会社
https://goinc.jp/

・株式会社IRIS
https://www.iris.inc/

GO株式会社 IRIS支援室ビジネスグループ マネージャー兼株式会社IRIS メディア統括責任者 明石 圭祐

<ゲストプロフィール>
大阪府出身。 関西大学商学部を卒業後、新卒で株式会社USENに入社。 有線放送営業で関西新卒1位になり、GyaO!事業部へ異動。 同時に東京へ。 USENグループのもつ全てのメディアを提案する広告営業を経験。 GyaOがYahooに売却されることを機に楽天へ転職するが、半年後にYahoo傘下のGYAOに出戻り。 そこからはGYAOで広告営業、ソフトバンクマーケティング本部への出向、人事、Yahooの動画プロジェクト、コンテンツプロモーション、制作などを経験し、GYAOのサービス終了に伴ってLINEVOOMへ異動。 1年前にGOに入社。IRISに出向。現在はタクシーメディアTOKYO PRIMEのメディア統括責任者として、コンテンツの編成、制作、広告タイアップなど、メディアプロデュース業務全般に携わっている。

リアルタイムな位置情報と高度な配車ロジックにより近くのタクシーをスピーディーに呼ぶことができ、アプリ上で目的地の設定が可能な配車サービスを手掛けるGO株式会社と、タクシーの車内空間を活用した日本初のメディア『TOKYO PRIME』を全国に展開する株式会社IRISのメディア統括責任者を兼任する 明石 圭祐氏を迎え、ここ近年利用者が格段に増加した配車サービスや広告業界について、タクシーそのものの変化など多岐に渡り話を聞いた。

1:配車サービスアプリ「GO」と上質な広告

明石氏が在籍するGO株式会社が手掛ける竹内豊さん出演のCM「どうする?GOする?」でお馴染みの配車サービスアプリ「GO」。忙しい人や急いでいる人以外にも猛暑が続いた今年は道で待たずに乗車ができ、決済もスマートフォンで簡単に済ませることができるこのサービスを利用した人も多いのではないだろうか。今となっては配車サービスは誰でも簡単にスマホ1つで利用でき日常的になっているが、どういった経緯で誕生したのか。元々はタクシー会社の日本交通ホールディングスが作ったアプリ「Japan Tax」とディー・エヌ・エーの「MOV」が統合し誕生した。都内有数の保有台数を誇る日本交通と日本トップのインターネット企業のタッグとなれば向かう所敵なしである。アプリの仕組みもタクシーの車体に乗務員用アプリと端末が搭載されユーザーがアプリから配車を手配すると運転手へ通知がいき到着時間や距離などが明確にわかる点も利用者としてはとてもありがたい。また支払いから領収書管理までスマホひとつで完結する機能のGo Payを使えば乗車時にQRコードを読み取るだけで支払いが完了するため到着後すぐに降車でき小銭や紙幣、お釣りなどの双方のやり取りの手間も省け全てにおいて時間の短縮が可能だ。

そしてもう1つ統括責任者を務める株式会社IRISはGO株式会社と株式会社フリークアウト・ホールディングスの合弁会社として設立されたサイネージメディアの開発および広告の販売を行っている企業で、タクシーに乗った時についつい観てしまうCMや番組といえばピンとくる人も多いはずだ。日本初のタクシーメディアのTOKYO PRIMEはとにかくインパクトがある印象に残るCMや広告が多くTVのCMとはまた違った面白さがあり乗車中も見入ってしまうことも多々あるが結局あれは何のCMだったのだろう、何をしている会社なのだろうと不思議に思ったことも同じくらいあるのが本音であるがこれもきっとまんまと戦略にハマっているのであろう。とは言え車酔いを誘発するような画面が揺れる映像やアクション映画のような映像や音で驚きや衝撃を与えるようなものは流さないなどの考査基準はきちんと設けているそうだ。昔はよく目にした光景であるのだが後部座席の前にチラシなどが沢山設置されお世辞にもタクシーの車内は綺麗とは言い難くせっかくお金を払ってゆっくりタクシーに乗っているのに読み終わったら適当にグシャと戻すその乱雑な様がよろしくないなと始まった事業ゆえ、いい空間の乗車体験だったなと感じて欲しい、上質なものを見て乗車体験を良くしていただきたいという思いから「上質な広告」と表現し意識をしているそうだ。東京を中心に全国主要12都市の富裕層・ビジネス層に圧倒的な質・規模で動画広告をお届けする日本最大のタクシーサイネージメディアTOKYO PRIME は、全国で7万1000台、東京では4万台の内の6割、2万5500台に搭載されており、毎週コンテンツ内を変えているそうだがそれだけCMを流したい企業が多い証拠であり大人気であることが伺える。

2:三方よしのTOKYO PRIME

このTOKYO PRIMは2024年4月に従来の高級感のあるイメージからもう少しユーザーに寄り添ったイメージに大きくリブライディングした。その象徴的な番組がうさぎがゲストを迎えヒソヒソとゲストと話をする「ひみつのプライム」、これもまた内緒話をしている声のトーンが耳心地がよくついつい見入ってしまい、エピソードのちょうどいいところで降車する際などはタクシーに乗らないと見れないその特別感も相まって何とも言えない気持ちになってしまう。出演されているゲストも錚々たる豪華な方達であることは勿論なのだが旅行中に枕をそのまま持って行く話や、家にいつもレンコンを常備しているなどゲストのエピソードも非常に面白くリラックスした雰囲気の中でトークを展開する進行役のうさぎの聞き出し方や会話術も秀悦である。2年前ぐらいまではBtoBのビジネス寄りの情報や広告を強制的にユーザーに押し付けている感覚があったがユーザーに楽しんでもらえる場所にするにはどうしたらいいのかを考えリブライディングをしたそうで徐々にタクシーの中が楽しい、この番組が見たいからGOでタクシーを呼ぶなどの声がSNSでも見られるようになり今まさに過渡期だと手応えも感じている。またこの事業は「三方よし」を掲げユーザーにとっては便利で快適なサービスの提供、タクシー事業者には収益の還元、広告主には効果的な広告機会を提供することで三者の利益の実現を目指している。また、タクシーの中ならではのリズムを大事にし広告とコンテンツを30秒ずつで区切り一定のリズムで出てくる映像が切り替わる手法を躊躇なく教えてくれた。ずっと同じものが流れていても飽きてしまう、短すぎたらチカチカしてしんどいからちょうど良い尺で切り替えているそうだが、何度も目にする媒体だからこそサービス面をきちんと伝えるクリエイティブや、分かりやすくロゴを表示したりポーズがビシッと決まっているなど認知効果の高い記憶に残るものを作るようにも心がけている。

3:目指すは全方よし

運転席の横にも沢山のタブレットが設置され特にベテランの運転手には使いこなしが難しそうにも感じるが、使い方がわからない乗務員に対してレクチャーをするなどタクシー会社をサポートするサービスを設けている。またGOを使い始めたことで営業利益がこれだけ伸びたなどの良い事例を紹介することで頑張ってみようかな、やってみようかなと一生懸命学んでくださることもあると理解と協力で成り立っていると話してくれた。実際に使ってみるとその便利さを実感するのは運転手だけではなくユーザーも一緒だ。2011年にはGPSを活用したタクシーアプリ「日本交通タクシー配車」が日本タクシーから既に配信されていたようだが、やはりコロナ禍あたりから配車サービスは一気に普及した印象がある。人との接触を避けざるを得ない状況下でアプリで配車ができルートも話さず指定可能で時間と料金も明確、決済もスマートフォンで完了する。乗務員もガソリンが高騰する中で乗客を探してタクシーを走らせるのには労力と時間お金もかかるがアプリ内で通知が来たらその場所へ向かいユーザーを目的地まで乗せる一石二鳥以上のメリットがある。コロナ禍で沢山の人が大変な思いをしたがその分、便利なサービスも増え数年前よりも格段に生活が豊かになった様にも感じる。明石氏は「三方ではなく全方よしを目指し、自分の仕事で周りの人が幸せになれることを意識して働くようにしています」と話していたがそういった思いがあるからこそ利便性は勿論、空間までも幸せにするようなコンテンツを作っているのではないだろうか。

前編は事業内容が主になってしまったが、長きに渡りメディアに携わってきた明石氏がどのような経験を経てきたのか、教訓や大事にしていることなど自身についてを後編で話してもらおう。