GUEST INFORMATION
今井 了介
Gigi株式会社 代表取締役社長
https://www.gigi.tokyo/
1971 年生まれ。
作曲家 / 音楽プロデューサー。起業家。
1995 年にキャリアをスタートし、プロデューサーとして HIP HOP / R&B を中心に数多くの作品を生み出す。
'05 年にはスタジオ "Studio Vision" の開設を機に、次世代プロデューサー・アーティストの育成をスタート。安室
奈美恵『Hero』や、TEE/シェネル『ベイビー・アイラブユー』などを手がける。作家・プロデューサーのエージェ
ンシー(有)タイニーボイスプロダクションを創業・主宰。2018 年、WEB ギフトサービス「ごちめし」で Gigi 株式
会社を創業。コロナ禍の先払い店舗支援「さきめし」、社食サービス「びずめし」、地域の飲食店を利用する「こど
も食堂」、法人向けギフト「GOCHI for ビジネス」を運営。
作曲家・音楽プロデューサーとして安室奈美恵の「Hero」やTEE/シェネルの「ベイビー・アイラブユー」などを手掛け作家・プロデューサーのエージェンシー(有)タイニーボイスプロダクションを創業・主宰。同社所属作家のBTSへの楽曲提供は、アメリカビルボードチャートでも一位を獲得したことも記憶に新しい。音楽を通じ知っている人も多いのではないだろうか。その今井氏が運営するGigi株式会社の感謝や応援の気持ちを食事とともにお届けするフードテックサービス「ごちめし」「さきめし」「びずめし」とはどういった取り組みなのか。
1:音楽プロデューサーとしての顔
音楽家、起業家としてその活躍の場は多岐に渡り、若手作曲家が所属しクリエイティブに集中してもらうために、交渉事や著作権などをエージェントとして請負うタイニーボイスプロダクションの代表も務めている。自身も若い頃の無名の時代は根拠のない自信や我が強い時期もあったがヒット曲に恵まれ周りが見えるようになったときに、追う側から若手に追われる側になり若い光る才能を踏みつけるのではなく運命を共にした方が自分の人生が楽しくなるのではないかと思い創業をしたそうである。作詞家、作曲家、編曲家が3人集まって音楽を作るその共同作業も面白いと話すように、今井氏のチームにはヒップホップやロック系、ダンス系やバラードなどが得意な人やサウンドを作るよりも曲を書く方が得意な人などバラエティーに富んでおり、プロジェクトによって今井氏がそういった人を組み合わせて最大化させることにも面白さを感じているそうである。そしてドラマのタイアップなど大きなプロジェクトの時などは、複数の部署やレコード会社、アーティスト本人などたくさんの人の意見が出てくることも多く、プランAとBは出せたが更にCDEパターンが欲しいとリクエストが入った際は1人では出せないがチームがいればそれも可能となり、とても頼もしいと話してくれた。
2:誰から誰にを考えるサービスの展開
Gigi株式会社では「ごちめし」というサービスを展開しているが、全国16,000の登録店舗からおすすめメニューや贈りたい人の好みのお店を選び、お食事券をメールやSNSで贈ることができ、贈られた人はそのお食事券をお店に提示すれば無料で食事を楽しむことができる。実はこのサービスは2019年の10月末に何千万円もかけローンチをしたがコロナ禍の直前だったためこのサービスは成り立たないのではと、しかし飲食店はこの先絶対に困った状況になると踏み、飲食店を支援するプロジェクト「さきめし」を始める。緊急事態宣言が終わったら食べにくるから今、大変だけど頑張って!と自分が応援したい飲食店に先にお支払いをする「さきめし」は贔屓のお店を応援したい人と応援して欲しい飲食店のマッチングが多く一気に1万5000店舗ぐらいまで登録数が増えたそうだ。更に店舗数が増えたタイミングで今度は福利厚生で企業が社員に食チケットを配布し、近所の飲食店を社食として利用する「びずめし」も開始する。こちらもリモートワークや営業職で外出が多い人にマッチし利用者が非常に増え、社員が平等に受け取れるサービスとして好評だと話してくれた。また最近は日本では7人に1人が貧困で人口にすると約220万人いるとされG7でワースト2という状況から子供の食事の問題解決のために寄付金や協賛、支援、自治体の補助金やふるさと納税を原資にし飲食店に子供が食べに行くとその食事料金が飲食店へ支払われ子ども食堂のDX化事業も始めている。飲食店のメニューを誰から誰に渡すかFROMとTOを置き換え同じプラットフォームとシステムを使うことで開発費もある程度圧縮でき4つのサービスを提供できている。そしてどのサービスも飲食店から手数料を徴収していないということに驚いた。「飲食店から手数料を取らないビジネスモデルのサービスが1つくらいあってもいいんじゃないかと思った」と話すようにサービスを利用する人が手数料を10%支払うシステムを導入している。日常的に使っている人も多いであろうグルメサイトも予約をし来店すればそのサイトに飲食店が手数料を支払うことが当たり前のようになっているが、実際に利用している我々が手数料を支払わずにお得なサービスを利用しているのは申し訳ない気持ちになった。地方に住む友人やお世話になった人に何かギフトを送ろうと思えば自ずと送料やメッセージカードなどが別途発生するが、Gigi社のサービスを使えば3000円ほどのお食事券が300円で贈れ楽しい時間をもプレゼントでき飲食店も嬉しい、たくさんの相乗効果があり素晴らしいサービスだと思った。
3:感情が動くところに新しい経済が動く
音楽をやっていた方が楽ですもんと笑いながら、新規性の高いことをやるのが自分がやるべきことだと力強く話し人が喜ぶことが嬉しいと続けてくれた。音楽は趣味性の高いビジネスだと思われがちだが、売れずに再生回数が伸びなければお金を生み出さず、更にはどんなに良い曲だと思っていても埋もれてしまっては多くの人には届かない。誰かが喜んでくれるというのは経済であり、感情が動くところに経済が動くと今井氏は話したがその通りだと心が震えた。一見、感情論の様にも聞こえるかもしれないが決してそうではなく、感動=ビジネスを真剣に考えているのだと思う。現に、出前館と連携協業し、出前館の店舗で利用できる「こども未来支援サービス」として子供達への食と日用品を支援し、びずめしでは従業員ひとり一人のその日のスケジュールや状況に合わせた食事の選択肢が増え、ランチタイムがより従業員の心身の休息の時間になる取り組みを行っている。争い競争ではなく共に力を合わせ良いものを提供しましょうと共創を大切にする今井氏は「飲食業に携わっていないかったから業界の慣習を知らないから無敵なんです」と笑うが、元々楽曲でたくさんの人を感動させていた人だからこそ、人を喜ばせ喜んでもらいたいという気持ちが強い人なんだと改めて思った。